番外編＿甘えん坊 ページ3
※第30話､第31話にて､コネさんと兄さんが二人で話している間のショッピ君視点です｡
「そんじゃ病人の為にもそろそろお暇するか!」
コネシマさんはパン､と胡座の掻いた膝を叩くと言った｡
「そうっすね｡長居してもあれですし」
「ん｡俺､ちょっと見送るか｡自分?寝とくんやで?」
よっこらしょ､とコネシマさんが立ち上がり､続けて俺も立ち上がって言う｡
兄さんも茅ヶ谷さんの頭を撫でて､厳しめの口調で注意をする｡
それを聞いて眉を下げる茅ヶ谷さん｡
不謹慎かもしれないが､可愛いな､とも思ってしまうのはしょうがない事だと思う｡
「はよ元気になってください｡また､コンビニで」
自分の思考を振り払って､言えば更に茅ヶ谷さんは眉を下げてしまう｡
ぐっと右腕が重くなったかと思えば､右腕の服の袖を茅ヶ谷さんが掴んでいる｡
「……行かんといてください…篠原さん…」
さっきまでの元気は何処へ行ってしまったのか､と問いたくなるほどにか細い声の茅ヶ谷さんがまた可愛い｡
けれど､寂しいと言わんばかりの顔に俺の心が痛む｡
「…篠原さん…?」
「少しだけ話しますか」
茅ヶ谷さんの方に向く様にして座り､笑って俺は言う｡
どうやら俺は茅ヶ谷さんに甘いらしい｡
「じゃ､ショッピ君､俺達は先に車の方に行ってるね」
微笑んで言う戌癒さんに軽く頷くと､二人はドアの閉開音と共に外へ出たみたいやった｡
「あ､袖､掴みっぱでしたね…w」
えへへ､と笑って茅ヶ谷さんは俺の袖を掴んでいた左手を布団の中へ戻した｡
口元まで布団を被り､ふにゃりと笑う顔はどうしても天使のそれだ｡
どうかしたんですか､と問えば茅ヶ谷さんは静かに俺の手を取り､自分の頭の上に置く｡
「…ちょっと､人肌､恋しくなってしまった…と言いますか｡……寂しく感じて…w」
迷惑でしたかね?､と苦笑して茅ヶ谷さんはまた眉を下げる｡
思わず茅ヶ谷さんの頭を撫でれば､猫の様に目を細めるのがまた可愛いくて｡
甘えん坊なんやな､と知ると一層甘えさせてあげたくなってしまう｡
「篠原さん､大好きやぁ……」
ふわり､と言う表現が似合う声で茅ヶ谷さんは言う｡
「…俺も好きっすよ?」
Likeやなくて､Loveの方やけど｡
やったぁ､と寝ぼけている茅ヶ谷さんには苦笑いだ｡
無言になったかと思えば､茅ヶ谷さんは「篠原さんの手､落ち着きますね…」と言い､小さく欠伸をした｡
「元気注入!」
笑いながらぎゅっと目を瞑る茅ヶ谷さんに､自然と笑みが溢れた｡
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作者名：アンバ | 作者ホームページ：ないと思ったか！……ないんですよねぇ
作成日時：2021年3月21日 21時
