悪魔の私と、私が愛した彼と、お友達の天使と (ページ24)

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貴方への想いを添えてページ24

「BF！今の状況は明らかにおかしいの！」
　自分の座っているスピーカーから最後のバトルの準備がアナウンスされる。BFは横目でこっちを見ていた様で、私の言葉に反応して頷いてくれた。
「本当なら私だけでどうにかできれば良いんだけれど、残念ながら今の私じゃ出来ないの。貴方に危険が及ぶかもしれないけれども、貴方の力が必要なの」
　不安で震えそうになる声色を誤魔化す様に大きく声を張り上げた。
「……お願い。力を貸してくれないかしら！」
　彼は口角を大きく上げ、あたかも余裕そうな表情を作りこっちを見て答えてくれた。その様子に安心して次の言葉を発する。
「ありがとう…。…このおかしな状況は、あの対戦相手の男の仕業よ！この会場全体を、魔術を使っておかしくさせてる！私一人だけの力じゃそれを解除できないの！私の力を貴方にかけて、貴方にはその力を増幅してもらいたいの！」
　BFの表情が若干曇る。
「大丈夫よBF！貴方は思いっきり歌ってもらうだけ！全力で歌って、あの男を打ち負かして！」
　その不安を払拭させる為に、細かいことは言わずに彼にやれるだけの事を話す。すると、安心したのかBFは相手の方に向き直った。
　私は座っていたスピーカーから降りて、会場の地面に足をつけた。
「それでは、最終決戦…、始めます！」
　アナウンスが聞こえると同時に、手にありったけの力を込める。私の目の前には、様々な幾何学(きかがく)模様の二重円に囲まれた六芒星(ろくぼうせい)の魔法陣が現れた。その魔法陣は強く光放ち、円の中心から更に一際強い一つの光の線が現れる。その光は空中に向かい、途中で逆走してBFの背中へと吸い込まれていった。
　全ての力をBFに託したのを見届けた後、自分の体重を支えきれなくなる程の脱力感に、思わず膝をついて座り込んでしまった。正直気絶しそうな程に力を使い果たしてしまった為、倒れ込まない様にするので精一杯だった。
(お願いね…BF…！)
　私の使った魔術は、相手の魔術を"破壊"するもの。"無効化"とかそんな生易しいものじゃない。文字の如く"破壊"だ。"破壊"したら最後、二度と使えなくなる。それを彼に託したのだ。けど、BFはこの力を感じる事は無いだろう。
　力が暴走したら最後、彼が死んでしまう。どうなるのかはもう分からないが私が出来ることはただ一つ。
「BF！頑張って！」
　今まで聞いた事のない程に声を張り上げて歌う彼の背を見つめながら、私も負けじとありったけの声量で応援した。