20話_壊れる、前に ページ22
『……っ、づ、ぅ』
……そもそも、無下限術式使いに敵うわけがなかった
赤く染まる視界と、重い体を引きずる
なんて、見苦しい
「……雑魚、つったのは訂正するわ。お前は強い」
『……あ……』
ようやく、再生した上半身で口を開こうとする
何を言えばいいのか分からなかった
「……チッ、いい加減倒れろよ」
『や、いや、ま……だ、私……』
手を、伸ばす
届かないとわかっていても、どうしても憎い
「……はぁ、傑が来る前に片付けようと思ってたのに」
……傑、目の前の者が言うのは、誰だったか
痛みが、痛みが、痛みが思考を支配する
周囲の全てが気持ち悪い
この世の全ては私を傷つけるものだ
理解している
理解しているのに
その、響きだけは、どうしても___
「……紫桜」
……いつになく、優しい声だ
鳥肌が立つ
これは私を傷つけるものでは無い
でも、きっと、今の私を壊すものだ
壊す
壊される前に壊す、壊さなくては
□□□
夏油side
「……なんで、早く言ってくれなかったんだ、悟」
血に塗れて、周囲に肉片を散らした彼女を見て歯を噛み締める
隣に立つ、無傷の親友に問いかけた
「どうせ捕まえて改心させても死刑。……気ぃ使ったんだよ、察せ」
「……どうも、余計な気遣いをありがとう」
口では皮肉を言いつつ、状況を見れば悟の言う通りであることは理性で理解していた
おおよそ、見える範囲だけで8人
これだけ殺していれば呪詛師として上からの死刑は免れない
ただでさえ面倒な術式持ちの特級なのだ、上も体良く始末する理由ができたと喜ぶだろう
彼女が大人しく捕まるわけが無い
改心など、尚更
そもそも今の彼女は突然頭がおかしくなった訳では無いこともわかっている
……それでも、私はまだ諦めきれずにいた
「……悟、下がっていてくれ」
「お前、どうする気だよ」
悟に睨まれる
「___紫桜を、助ける」
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れーと - 中級者です!さん、いいですね黒笑 くっ僕の幸せを夢主ちゃんに分けてあげたい。 (11月12日 17時) (レス) @page24 id: 18437b55a7 (このIDを非表示/違反報告)
中級者です! - れーとさん、私はダイナマイト持って行って××親をぶち56してきます黒笑 (11月8日 20時) (レス) @page22 id: 4136f150ea (このIDを非表示/違反報告)
星雀(プロフ) - 夢主ちゃん頑張れー!! (11月8日 17時) (レス) @page22 id: cb3ce32ba5 (このIDを非表示/違反報告)
れーと - 初コメ失礼します。夢主ちゃん頑張ってっ‼あと、クソ親どもは僕が跡形もなく消し去るから安心して‼ㇲ(ロケラン準備) (11月6日 20時) (レス) @page8 id: 18437b55a7 (このIDを非表示/違反報告)
Ama - めっちゃ面白いです。応援してます! (11月5日 21時) (レス) @page5 id: 7e4a5b7e94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:署 | 作成日時:2023年11月5日 19時