【呪術廻戦】地獄を、貴方と【夏油傑】

18話＿復讐は悲しみしか ページ20

「……ｯ、もう、やめてっ……！！！」

そこに、小さな邪魔がひとつ

『……愛華さん』

「紫桜ちゃん……私が憎くて、こんなことしたんでしょ！？
私のことなら、どうしたって構わないからッ！！関係ない人には手を出さないでっ……！」

勘違いもいいところだ

「おい愛華！何してんだ、お前……！前に出すぎんなよ、つか早く帰れ」

「ありがとう、悟くん……ねぇ、紫桜ちゃん。紫桜ちゃんは、私がみんなと仲良くしてるから、羨ましいだけだよね？」

『……』

冷ややかに見つめる
愛華さんはそんな視線にも気づかずに、一生懸命熱弁を奮っている

「それならこんなことやめて、みんなに謝ろっ！？
そしたら、みんな、きっと許してくれるよ！！私、紫桜ちゃんにいじめられてたのだって怒ってないよ……！」

この後に及んでその設定続けるんだ、結構図太い人なんだな

『……』

「だからっ！こんなこと、もうやめよっ！！？復讐なんて、悲しみしか産まないよ……！」

器用に、虹を宿すように輝く瞳に涙をにじませている
私も、そんな器用さがあればなにか変わったのだろうか

『……そうですか。悲しみしか産まない、か、いい言葉ですね』

「でしょ！？だから、こんなこともうやめて……」

『でも』

彼女の言葉を遮る

『悲しみしか産まない、と言いましたね。いい言葉だけど、少し惜しいです』

「……は……？」

『悲しみなんて、どうでもいいんですよ。ただ、痛みを、痛みを、痛みを知って欲しくて』

「っ……な、なに……？怖いよ……」

『……ふふ、やだ、「私の事ならどうしてもいいから」じゃないんですか？』

「そ、れは……」

『……知ってますか？
呪霊にいたぶられるのって、案外痛いんです。
全身を貫かれたり、臓器を引きずり出さるたり、たまには手足を引きちぎられたり。そういえば、私の始めても呪霊が相手でした、確か8歳の頃、特級呪霊に……』


「……な、何、言ってるの……？」

『私の術式、そういえば教えてませんでしたっけ。……痛みを、何十倍にもして相手に返せるんです。類感呪術の応用……みたいなものですね』

ひとりで、こんなに喋るのは初めてかも

『傷が治るのは術式の副作用みたいなものです。……私、首をちぎられても死なないんですよ。気持ち悪いですよね。私が特級術師な所以です』

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