相互優しい ページ38
.
.
.
TH「数学科室?」
うん、って頷くと、当たり前のようにノートとプリントの束をまた半分以上持って歩き出したテヒョンくん
わたしは、その背中を追う形に
頼まれたのは私なのに、何も言わずに手伝ってくれるテヒョンくんは
…優しいな、単純にそう思った
.
.
TH「へぇ、今年の1年生ってミュージカルやるんだ」
おもしろそ、ってニコニコ笑いながら、順調にプリントやらノートやらを纏めてしまっていく
ミュージカルどんなのやるのかなあ、わたしたちが1年の時は英語で劇をやったっけ
.
.
TH「いっ、…やべ」
プリントをまとめようとしていたテヒョンくんの指に、ホチキスの針が刺さったみたい
「あ、まって。わたし絆創膏持ってる」
よく紙で手を切ったり、転んだりするわたしは、絆創膏を常に持ってる
.
.
TH「…優しいんだね」
勢いよくテヒョンくんの指から血が流れるから、慌てて絆創膏を巻き付けて、とりあえず応急処置完了、って思ってたら
優しいんだね、って
目を細めてすごく嬉しそうに言う
.
.
別に、優しくない
誰だって目の前で血をドバドバ出されたら慌てるし、処置しようって思うもん
…だから、そんな大したことをしてない
.
1148人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ほにこ | 作成日時:2022年8月12日 19時