春は新たな出会いの季節【探偵チームkz事件ノート】

談話室【彩】 ページ10

今日の授業がすべて終わって、私は一階へ向かった。


談話室に到着すると、そこには既に電気がついていた。

私が最も近いから、一番に行けるかなと思ってたんだけど……誰だろう。

そう思いながら扉を開けると、そこにいたのは上杉くん、小塚くん、翼の三人だった。
つまり、三谷Ｃのメンバー。


「早かったな、立花」
「黒木と若武はまだ来てないよ」
「三谷Ｃは早く終わったから、ここで駄弁ってたとこ」


説明を聞きながら、三人と同様に一人用ソファーに腰かける。

この教室は、前方は、一人用ソファーが十脚、ミニテーブルが五つに小さなホワイトボード。

後方は、二人用の机が四台、椅子が八脚と、前に教卓がひとつ、そして、ホワイトボードというレイアウト。

後方のシンプルなつくりを見て、ふと私は思ったことを口にした。


「この教室の後方、小学部の特別教室を思い出さない？」


私の言葉に、上杉くんと小塚くんの表情が少し緩んだのがわかる。


「確かにな」
「思い出の場所だもんね、僕たちの」


懐かしむ私たちの横で、ひとり、翼が困惑していた。


「……美門は知らないか」

「聞いたことないけど。特別教室って何でしょ」

「特別教室はね、小学生のときに作られた少人数のクラスのことだよ。得意科目と苦手科目の差が激しい生徒を集めて、総合的に力を伸ばせるようにするための場所で、僕たちはそこで出会ったんだ」

「へぇ……kzの原点ってことだね」


特別教室のことを思い返しながら私は、翼と中学校で出会えてよかったなと思った。

翼はオールラウンダーだから、小学部から通っていたら、きっと特別教室には入っていなかったはずだもの。
もしかしたら、kzメンバーじゃなかったかもしれないから。


「……なぁ、若武と黒木遅くねーか？」
「もう、授業終わって十分経ってる」
「何かあったのかな」

「もしかして……」


そう言ったのは小塚くん。
何か心当たりでもあるのかな。


「若武……いる？」


その目線は、教卓に向かっている。
……いるってどういうこと？


「おいおい小塚、さっき特別教室の話して思い出したんだろうけど、中学生にもなって、いくら若武でもそんなことするわけが……」


そのときだった。


「悪かったな！」


なんと、教卓の中から若武が出てきたの！

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作者のひとりごと(随時更新)

春編お付き合いありがとうございました！夏編は私が書きたかったお話てんこ盛りなので、なかなかまとまらずに苦戦中です……。気長にお待ちいただければ有り難く思います。それでは続編でお会いしましょう！

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