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【悠】似た者同士 太宰治 ページ2

コポコポと口から溢れる音しか聞こえない。

うっすらと目を開けると、水面に光を混ぜていく波が映りこむ。

腕を力強く降ると、疎らな泡が天に向かって舞い上がっていった。

じわじわと体に力が入らなくなり、流れに身を任せるようになっていく。

息が詰まってきて、だんだんと苦しくなってきた。



__あぁ、死ねる。


まだ見ぬ黄泉の国に場違いな興奮を感じ、自分を死を確信した時だった。


「大丈夫ですか!?」


地元の高校のカヌー部らしき青年が、私の体を強く引いた。

息がうまく出来ないまま、ゲホッとむせてしまったのでさらに苦しくなる。


「…ありがとう、ございます」


心の中で舌打ちをしながら、とりあえずその人に礼を言う。

また、死ぬことは叶わなかった。


河原に降ろしてもらい、また詫びるように礼を言っておいた。

本当はなぜ助けたのかと叱咤したかったが、あの人のようにはなりたくないから慎んだ。




「やぁ、Aちゃん!元気そうだね」


視界の端に、あの人こと太宰さんが映る

そして、包み込むようにふわりとタオルを私の首にかけた。

今回も未遂で終わることがわかってたみたいだったのが、悔しかった。


「だから言ったじゃないか。溺死は厳しいって」


私は返事をする代わりに目をそらし、タオルに顔を埋めるようにする。

洗剤の爽やかな香りの中に、微かに太宰さんの匂いがするのに気づいた事も歯がゆい気持ちにさせた。


「まぁ、私としてはこんな事はあまりしないで欲しいのだけどね」


自分だってしょっちゅうやってるくせに。
と、心の中で難癖をつける。

子供の我儘に困ったように肩をすくめて、苦笑しているのさえかっこいいと思うのも、悔しくてたまらない。


「Aちゃんの葬式とか、本当に勘弁だよ」


「私だって、太宰さんのお葬式なんてやりたくないですよ」


私はこの人より、先に死ななければいけない。

お互いの葬式をしたくないから、先を争うように死に急ぐ2人。

改めて考えると、なんだか心底笑えてきた。



「とにかく、私より先に死なないでほしい」


「それはこちらも同じ気持ちですよ」



きっと私たちは、寂しがり屋の似た者同士なのだろう。

因みにこの後、心中という手っ取り早い方法を思い付き、国木田くんの胃に穴を開けるのだった。




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なんか、こんなのしか書けなくてごめんね。

悠でした。

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設定タグ:文スト , 短編集 , 合作   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - 夏姫さん» 多分、いいと思いますよ (2017年4月6日 21時) (レス) id: 20334156a0 (このIDを非表示/違反報告)
夏姫 - リクいいですか? (2017年4月6日 21時) (レス) id: c2f2af25dc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:悠×梓 | 作成日時:2017年4月5日 18時

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