酸いも甘いも (ページ11)

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｢めしだー｣
｢んー｣
床にあぐらかいて座る祐馬の頭を
ソファに寝そべりながら
くしゃくしゃと上から撫でた。
彼は今ゲームに夢中だ。

｢ゆうまー｣
｢なんでフルネームやねん｣
｢んーなんとなく｣

｢定着してるからもうええけど、
俺、ほんまはイイダさんやねん｣

｢知ってるー｣

小さくクソッといいながら
コントローラーを置いた。
ゲームは負けたらしい。
悲しげな音楽が
GAME OVERの文字とともに
終りを知らせた。

ぐぐっと伸びをしたかと思うと
そのまま私の腕を掴んで引き寄せた。
｢わわっ…｣

完全に体勢は崩れて
半分ソファからズリ落ちた状態になった。

目の前に前髪で隠れた目が確かに2つ、
こちらを見ている。

｢なぁ、わかってる？俺男やで｣

そのまま黙ってると
ふぅ、と息をつきながら立ち上がって
私の隣に座ったので
わたしもちゃんとソファーに座った。

｢何考えてんの？｣

……え？

｢いま、なにかんがえてんの？｣
｢や、えっと…｣

言えない。

隣に座ってきたくせに
ずっと下向いて
私の膝のあたりを一点
見つめてる。

相手の目が見れない、祐馬の癖だ。

すぅ、と空気が吸い込まれる音のあと、
｢ほら｣
と差し出されたコントローラー。

｢一緒にやりたいんやろ？｣

…違うんだけどな、
と思いながらも

まあいっかで過ごす

休日午後3時。

to be continue