君のことは好きだけどヒーローは嫌い (ページ3)

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死柄木と(名前) ページ3

外は雨が降っている。
今拠点には死柄木とAしかいなかった。
お互いに何も言わず、Aはカウンターに頬杖をついてぼーっとしていた。

思えば、あの日もこんな日だった。
Aがオールマイトの娘だと知り誘拐された日、Aは先生と出会い、そしてオールマイトを殺すと誓ったのだ。
その時、先生に連れられていたのが死柄木だった。
最初は警戒されていたし警戒していたが、2人は段々と打ち解けて行った。
今では兄妹のような関係だ。
そして2人ともオールマイトをとても嫌っている。
Aはオールマイトを殺すそのために、酷く痛い手術にも耐えた、投与も成功させた。
痛みになれる為の臓腑を掻き回される痛みにももう慣れた。

(きっと…弔が居なかったらただの脳無になってたんだろうなあ)Aはそう考えると、静かに伸びをした。
「弔」Aが椅子から降り一言名前を呼ぶと、死柄木は億劫そうに目だけをAに向けた。
「買い物行こう。奢るから、篭ってたら体なまるし」そう言うと、Aは有無を言わさず死柄木の服を掴み、拠点を飛び出した。

2人が外に出ると雨は上がり、空には虹がかかっていた。
(ああ…こんな素敵な日には、ヒーローに不幸がありますように)
Aはそう静かに心の中で考えるのだった。