君のことは好きだけどヒーローは嫌い (ページ1)

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お前が嫌い(前) ページ1

炎の海…血だらけで横たわる人達…
私の上から落ちてきた瓦礫を支えて守ってくれる大きな影…
ママを吹き飛ばしたパパの姿…
それが…今でもまぶたの裏にこびりついて…離れない

「おいA…」貴方は男の声で夢から現実へと引き戻された。
「なに…弔」貴方は目をこすりながら自分を起こした声の主の方へと目を向ける。
その男は何とも不思議な格好をしている。
全身に手をつけているのだしかもそれを父と呼ぶ最初は怖かったし苦手だったが、しばらく行動を共にするうちに気に止めることすら無くなった。
その日、Aと死柄木弔は別行動だった。
先に拠点に帰ってきた貴方は少しの用事を済ませるとカウンターに突っ伏して眠ってしまっていたようだ。
Aはふわぁと欠伸をすると伸びをして、死柄木弔が指さしている方向を見やる。
そこには随分と凶暴そうな風貌の少年がいた。
背丈からして高校生くらいだろうか…なにか身構えているように見える。
(珍しい拘束をしないで一般人を連れてくるなんて)Aはそう考え、男の子をじーっと見つめる。
Aは少し考える素振りを見せると、ああ…と声を出した。
「ひょっとして雄英の？」Aがそう言って死柄木弔の方を見ると、死柄木弔は静かに頷いた。
「…へー…なに、ヒーローを育成する雄英高校がまんまと卵をヴィランに取られちゃったの？それは随分と傑作だね。私も見たかったビデオとかない？」Aの希薄になった感情が珍しく出るほど驚き喜ぶと同時にAは酷くガッカリした。
「オールマイトは？いなかったんだ？」Aは少し鳥肌を立てながらその名前を口にする。
死柄木弔は、ああ…とだけ口にした。
おい！と怒号が飛ぶ、どうやらほっぽりっぱなしにしていた事を怒っているようだ。
Aは酷く興味なさげに少年と死柄木弔の会話を流し聞きしている。

すると、拠点の扉をノックする音が聞こえる。
連合の人間も拐ってきた少年もポカンとしている中、Aはカウンターの下に静かに潜り込む。
連合のうちの1人がドアに向かおうとすると突然、
スマアアアアッシュ
その大きな声とともに壁が突き破られ、オールマイトが見えた。
黒霧がゲートを使おうとするも、オールマイトの背後から出てきたシンリンカムイによって取り押さえられる。
荼毘が焼いて脱出しようとしたがグラン・トリノによって気絶させられた。