お侍さんたちの短編集 2 (ページ8)

今日:7 hit、昨日:5 hit、合計:53,594 hit

57.ジレンマページ8

どんなにがんばっても叶うはずがないのはわかってる。

絶対にこの気持ちも気づかれないようにしなくちゃいけないのもわかってる。

だけど、どうしようもないときだってある。

厳かな雰囲気の教会の中。

克樹と嶺亜さんが、手を取り合って見つめあってる。

「嶺亜」

「…」

「俺、嶺亜のこと、好きだよ」

「…」

「だから、嶺亜の気持ち、おしえて」

いつもより真剣な克樹の声、ゆっくりと動きだす嶺亜さんの唇。

好きって言ってあげてほしい気持ちと、言ってほしくない気持ち。

見つからないように隠れて様子を窺いながら、ぎゅっと唇を噛み締める。苦しいけど、これが琳寧が選んだ恋。

だけど…

「克樹。俺は、克樹のこと…」

「だめぇっ!!」

克樹、ごめんね。

やっぱり琳寧、まだ諦められないから、嶺亜さんの気持ち、聞きたくない。

────────────────────────

克「ひどいよ、琳寧。俺から嶺亜とっちゃうなんて。そんなにも俺のこと、キライなの？」

琳「ちがっ。あれは、その…うん。その場の勢いっていうか、ホントごめん！」

克「次、そんなことしたら、琳寧のことキライになるからっ」

大「なぁ。あれ、なに？」

矢「なんか夢の中で琳寧くん、ダカさんから嶺亜くんを略奪したらしい」

大「はぁ？」

今「そうなんだ！ほらぁ。やっぱり琳寧、嶺亜のこと好きなんだよっ」

嶺「…」