54.両思いだけど片思い ページ5
俺の好きな人は、ときどき変な勘違いをすることがある。
自分のことが好きな大光の好きな人は俺だったり、俺には自分より大光の方がいいんじゃないかって思い込んだり。俺のことが好き過ぎるところがかわいくもあるけれど、俺がどれだけ好きなのか、もう少しわかってくれてもいいのになぁって思うことがある。
だけど、それだけ不安にさせてるのは、俺のせい。
俺たちがまだお互い素直になれなくて、お互い自分の気持ちに蓋をしていたあの頃。
俺がもっと早くに打ち明けてれば、いつまでも不安にさせることはなかったと思う。
どうしたらもっと俺の気持ちが伝わるんだろう。
こんぴが思ってる以上に、俺はこんぴのことが好きなんだよ。
たったそれだけのことなのに、伝えられないもどかしさ。
なんだかそれって、片思いしてた時みたい。
そうなんだよな。
両思いになったっていうのに、俺はいつまでもずっとこんぴに恋してる。
だったら、俺にできることはただ一つ。
俺が恋してるように、こんぴにも俺に恋しててほしいから、毎日だってこの気持ちを伝えよう。
「ねぇ、こんぴ。こっち向かなくていいから聞いて」
「なに? 矢花」
「好きだよ」
「…知ってる」
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今「…あのさ、矢花」
矢「ん?」
今「これ、恥ずかしい」
矢「ん〜、もう少しだけ」
今「…ばか。くすぐったいし」
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作者名:すもも | 作成日時:2020年4月24日 20時