お侍さんたちの短編集 2 (ページ28)

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77.げりんさんはお気に入りページ28

みてはいけないものをみてしまった。

たぶん、これをみたのは俺だけのはず。

俺だって矢花とするし、大光だって矢花としてた。

克樹は嶺亜が好きだから、嶺亜がさせてあげてても不思議じゃない。

だけど、嶺亜が好きな琳寧がこれをみてしまったらって思うと、俺としてはやっぱりみてはいけないものをみてしまったって思ってしまう。

それにまだ誰もきてないけれど、もし俺がここを離れたら、誰かがみてしまうかもしれないし。

どうしよう、困ったなぁ。

ずっとこのままってわけにはいかないし、おろおろしてたら、誰かの足音。

こんなとき、雑音って消えるんだなって、はじめて知った。

「こんぴー、なにしてんの」

「えっ。なんにもしてないよ」

わざと大きな音を出して、ドアノブに手をかける。

嶺亜と克樹、気づいたよね？

ドキドキしながら中に入ると、二人、少し離れて座ってて、ホッとする。

「琳寧。今日の差し入れ、なんだろうね」

俺はいつも通りを装って、後ろの琳寧に話しかけた。

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今「嶺亜にしては脇が甘かったね」

嶺「こんぴー、びっくりした？」

今「…ちょっと」

嶺「ごめん、ごめん」

今「気をつけてよね。琳寧がかわいそうじゃん」

嶺「最近、お気に入りだね」

今「うん。なんかね、おもしろいんだよね」