52.好きの理由 ページ3
よく出会うのが早ければっていうけれど、そんなのはあんまり関係ないと思う。
どんなに早く出会ってたって、思いが通じ合うかどうかなんて、誰にもはっきりわかんない。
現に俺とこんぴも、出会いは早かったけれど、いまでも俺の思いはすれ違ったままだし。
例えば１％の奇跡を信じて、いつか交わることがあったとしても、それはこんぴが傷ついた結果のことだから、俺としては嬉しくもあり、複雑だったり。だから、正直なところ、そんな気持ちでこの恋を成就させたくないわけで。
それにしてもいつも思うのは、なんでこんぴを好きになったんだろうってこと。
好きになったことを後悔してるわけじゃないけど、好きな人がいる人を好きになるようなしんどい恋より、もっと楽な恋があったはず。なのに気がつけばこんぴを好きになっていて、いつの間にかもう引き返せなくなっていた。
きっと人を好きになるのに理由なんてないし、必要でもないんだろう。
こんぴがいたから、こんぴを好きになった。ただそれだけのこと。
「たいこう？ どうしたぁ？」
俺が見てることに気がついたのか、目の前で手を振って、ちょっと心配そうに首を傾げてる。
「こんぴー、好きだよ」
って言葉を喉の奥にしまいこみ、
「なんでもない」
って言えば、
「それならよかったぁ」
って笑ってくれる。
もし好きに理由をつけるなら、こんぴの笑顔が俺は好き。
─────────────────────────
大「こんぴー」
今「なに〜？」
大「ちゅ〜しよ？」
今「はぁ？ なんでだよっ」
大「じゃあ、ぎゅ〜ってしたい」
今「だから…」
大「だめ？」
今「…しょうがないな。ちょっとだけなら」
大「ありがと」
今「…やっぱなんか変じゃん」
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作者名：すもも | 作成日時：2020年4月24日 20時
