63.天使のくちびる ページ14
最近、大光がこんぴとよくいる。
なんとなく今までと違うのは、大光が自分の気持ちを隠さなくなっていること。
といっても、肝心のこんぴには届いてないみたいだけど。
それでも矢花からしたら、うかうかとしてられないんだろう。
以前はどちらかといえば、こんぴが矢花にべったりしていたけれど、最近はなにかと矢花がこんぴを離そうとしていない。
こんな状況になっても、まったく変化を見せないこんぴは、ある意味無敵だ。
ふわふわな見た目と違って、芯が一本通ってて、ぶれることがない。
そんなこんぴに片思いしてる大光を、応援したい気持ち半分、諦めさせたい気持ちも半分。
とはいえ、なんだかんだいったって最年少に弱い俺だから、結局、応援することになるんだけど。
だから、なんのためらいもなく、こんな言葉も簡単に言えたりするわけで。
「俺とキス、しようか」
「は？ なに言って…」
大光が驚くのも無理はない。
「俺がしたい気分」
バカなことを言ってると思う。だけど、外見に似合わず繊細なこの最年少の報われない恋心を思うと、キスの一つで好きな人の代わりが務まるなら、それもいい。
「ほら、大光」
「…嶺亜？」
「こっち、きて」
その瞼の裏に、大光が焦がれてるこんぴを思い描いて。
「大光はただ目をつむっていればいい」
そうしたら、その間だけ、俺は大光の天使。
───────────────────────
嶺「俺とのキス、どうだった？」
大「ん〜」
嶺「ん〜？」
大「やっぱ、こんぴがいい」
嶺「だろうね」
大「ごめん」
嶺「それでいいんだよ。がんばれ、大光」
大「うん」
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作者名：すもも | 作成日時：2020年4月24日 20時
