50.琳寧がいるから ページ1
ある日の楽屋。
ちょっと留守して戻ってくると、ポロポロ泣いてる克樹が入口のところに座っていた。
ちょっと前にはお互いおはようって笑顔で挨拶して、今日もがんばろうねってハイタッチまでしたのに、いったい何があったのか。
いくら考えても琳寧にはわかんないから、とりあえず中まで連れてって、持ってきてたペットボトルの水を手渡してみる。
これで少しは落ち着いてくれればって思うんだけど、現実はそう甘くなくて、
「…俺、もうダメかも」
なんて言うもんだから、琳寧までどうしようって落ち着かなくなってくる。
何があったのか、さっぱりわかんないし、琳寧が力になれないんなら、頼れるのはもう嶺亜さんしかいない。
悔しいけど、克樹にはやっぱり嶺亜さんなんだって、自分の気持ちに蓋をする。
「泣かないで、克樹。嶺亜さん、呼んできてあげるから」
「ダメっ」
立ち上がろうとして、急に抱きつかれたから、思わずしりもち。
「克樹?」
「嶺亜は、ダメ」
「なんで?」
至近距離の克樹にドキドキするより、克樹が嶺亜さんを拒否したことにビックリしてしまう。
「だって!」
「だって?」
「だって、嶺亜が大光に…ハグ」
なんだ、そんなことって思ったけど、口には出さない。
嶺亜さんが一番の克樹には、きっとすっごくショックな出来事。これがこんぴーだったら、よくあることだから、気にもならないんだろうけど。
だから、いま、琳寧が克樹にしてあげられることは、ただ一つ。
克樹の気持ちが落ち着くまで、琳寧が傍にいてあげる。
────────────────────────
琳「…落ち着いた?」
克「…うん」
琳「きっとね、嶺亜さんも今の琳寧と一緒だと思う」
克「?」
琳「大光、真面目だし、一番下だから、なんかあったのかも」
克「そう、かな」
琳「うん。そうだよ。だって嶺亜さんが好きなの、克樹じゃん」
克「そうだよね。嶺亜の一番は、俺だもんね」
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作者名:すもも | 作成日時:2020年4月24日 20時