お侍さんたちの短編集

13.恋のかけひき ページ13

「じゃあ、試してみれば？」

そんな嶺亜の言葉から始まった俺の恋の駆け引きは、どんな結末を迎えるんだろう。

誰だってバッドエンドだけは避けたいって思うのは当然だし、結構みんなから甘やかされてる俺だから、嫌われてるってことはないけど、それは俺が望んでる結末じゃない。

そうなんだ。

俺が望んでるのは、オトモダチじゃない。

この前も俺の好きなものを好きになりたいって言ってくれたから、俺が欲しがってる言葉を持ってるはずなのに、なかなかくれない。

なんでかは、たぶん俺は知っている。

今がすごく居心地がよくて、壊れるのがすごく怖い。それなのに、すごく知りたいホントの気持ち。

だから俺は試してみてる。

「マジかわいい。俺のこんぴ〜」

「ちょっ、たいこう」

最年少で、矢花のことが好きな大光を利用するなんて、俺ってサイテー。だけど、俺の中の二人の俺が俺の背中を押してくる。

矢花に妬いてほしい俺と大光に矢花は俺のだからと見せつけたい俺。

こんな俺、嫌いになる？

ほんの一瞬、視線が絡む。

「こんぴっ。ちょっと…」

腕をとられ、連れてこられた階段の踊り場。

「矢花？」

「すき…ありすぎ」

なんだか矢花らしくない中途半端さ。それでも嬉しく思う俺がいて。

「…ばぁか」

俺はぎゅっとされながら、矢花の背中に手をまわした。




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克「嶺亜はね、なっんにもしなくていいから」

嶺「…」

克「掃除、洗濯、炊事、ぜ〜んぶ俺がするしっ」

嶺「…」

克「なんだったら、か、か、からだだって、お、お、おれが…」

嶺「うわっ、鼻血…克樹、サイテー」

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