Anthem 2

だいすきとだいきらい (K.I ver) ページ25

「ん？全然、
大丈夫だよ。
それはこちらこそ。
バレないように気をつけてね。」


様子がおかしくなったのは
2週間ぐらい前


「ねえ、
どこかさ誕生日ケーキとかをサプライズで
出してくれるお店知らない？」

なんて言い出す始末。

いやいや、ちょっと待って、KO ITAKURA.
あなたの彼女はわたしだ。

サプライズで祝う気があるなら
私に聞いたら絶対だめでしょ。

「大阪なんだよ。
俺全然わかんないや〜。」

ただでさえ長い体をびよーんと伸ばして
ソファーに横たわると

「ねえねえ、
誕生日に花束とかべたすぎるかな？」

と笑っていた

そういえば滉くんはいつも誕生日は美味しいご飯を食べさせてくれて
可愛いお花をくれた。


出会って一年目の誕生日には
10本の綺麗な花をくれて、
２年目の去年は20本の花束だった。


「次30本の花束って、ちょっと重いかもね。」
あの時笑っていたのは、
なんだったの？




誰にでも優しい彼が
大好きで、大嫌いだ。






晩御飯の準備をしていると、


あれ、全然電話出ないじゃん。
一緒にいんのかな。

なんて声が聞こえてくる



バレたか
せっかく久しぶりに会えると思ったのに。



どうして彼の独り言はこんなにも大きいんだろう。


他に好きな人がいるなら
知りたくなかった。



ペタペタと足音をたてて、
飲み物をとりにきた滉くん
冷蔵庫からお水を手に取ると


「あれ、なんで泣いてんの？」


いつもの優しい声で、話しかけられる。



いつもは大好きなあなたの声すら
今はなんだか嫌で。


「ん、なんでもない。」
涙を拭ってお皿洗いを続ける。


「ねえ、なに？言ってみ？
解決できるかわかんないけど、
1人で泣かないでよ。」


こんな時まで優しいなんてずるい。
私だけが嫌なやつみたいで、
私だけが人として弱い人みたいで。
それでも言わなければ、
彼はその子のところに行ってしまうから。


「滉くんが他の子のお誕生日お祝いするの嫌だ。」

声に出したら涙が止まらなくなって、
子供のようにえんえんと泣き出す私を見て
え？と呆れた顔をして、
あーー、なるほど。とすぐに笑った。


「堂安律くんの誕生日。
男の子のお誕生日」

え？
全く理解できないでいると


「ねえ、俺ってそんなに信用ないの？」
と引き寄せられる。


「俺がそんなやつじゃないって、
Aなら分かってると思ってたけど？」


とやっぱりいつもの笑顔で笑った。




こんな彼のことが、
大嫌いで、でも大好きで仕方ない。

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