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月が綺麗ですね (J.I ver) ページ17

「何見てんの?
風邪ひくよ。」


声をかけられるまで
自分がベランダにいたことをすっかり忘れてしまっていた。


なんだか今日は月が明るいな〜と、
窓越しに眺めていたはずなのに、
気付いたら、
窓を開けてベランダにまで飛び出していた。


「聞こえてる?」

私が開けた窓から、
ソファーに転がる彼のところへ
風が吹き込んでいる。


きっと、寒いから
早く閉めてくれと、
そう言いたいのだろう。



特に悩みなんかないはずなのに、
仕事も好きだし、なんの不満もない。


それなのにどうしてだろうか、
こうしてぼんやりと月を眺めていると、
なんだか寂しい気持ちになっていくのは。


「ねえ、中に入れって。
反抗期?」


純也くんはついにソファーから立ち上がって、
私が一度閉めた窓を開けた。


「うん、大丈夫。
ちょっとぼーっとしてる。」


「っそ。」


彼はまたドアを閉めて、
パタパタとスリッパの音を立てて部屋に戻って行った。


ガラッとまた窓が開いて振り返ると、

ブランケットとマグカップを手にした純也くんが戻ってくる。



「反抗期の子供には寄り添ってあげることが必要らしい。」




どこで聞いたのかそんなことを言って、
隣の椅子に座って、
ポケットから出したゲームの電源を入れた。


「寒かったら使ってもいいよ。
あ、お茶もどうぞ。」


こっちの方を一度も見ないで、
綺麗に畳まれたブランケットを差し出して、
その手をすぐにゲームに戻した。



カチャカチャとボタンを押す音が響いていて、
時折、う〜ん、とかあーやべー
なんてブツブツ言っている隣に座った彼。


「ちょっと寒くなってきたね。」

「別に純也くんは部屋でのんびりしてていいよ?」



「なら、別にここにいたっていいでしょ。
なんで同じ家にいるのに別のとこにいんの
さみしいかよ。」



いやいや、ただの寂しがりやかよ。


「あっそ。」


「てかむしろ、Aこそ、
部屋で良いんじゃない?」


「うん、でも。
今日は月が綺麗だから。」


そう言って月を指差すと、


「え、それなんか深い意味とかあるやつ?」


やっとこっちに視線をやった。


「深い意味?
いや、別に。」



「今日は月が綺麗ですね。」



恥ずかしそうに言った彼の言葉に
私は首を捻って、


「うん、そうですね。」



なんて、うまい言葉を返せなかったけど、


なんだか自慢げに、
さっさと部屋に戻って行った純也くんは
子供のようだった。

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A(プロフ) - たけふぁんさん» こんにちは。コメントありがとうございます。今回初めて書いたので不安な気持ちでおりましたが、とても嬉しいお言葉をいただいて嬉しかったです。またぜひ書かせていただければと思っています。 (11月12日 16時) (レス) id: c571f15b0f (このIDを非表示/違反報告)
たけふぁん - いつもお話拝見させていただいてます。タケのファンなので、ストーリーの展開がリアルでめちゃくちゃキュンキュンさせてもらいました!また、タケのお話も書いて頂けたら嬉しいです! (11月12日 2時) (レス) @page47 id: 349b9a69f5 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - るさん» はじめまして、コメントありがとうございます。記載の通りですが他の作品は現在公開しておりません。またいつか公開する日が来ればぜひよろしくお願いします🙇‍♀️ (11月9日 17時) (レス) id: c571f15b0f (このIDを非表示/違反報告)
- はじめまして❣️お話全部キュンキュンしました😭よければ、他の作品などを拝見したいのですがパスワードを教えていただくことは可能でしょうか?🙏🏻 (11月9日 2時) (レス) id: d1c716dc22 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - miyuさん» 返信できておらずすみません。良いアイデアが浮べばぜひ書かせていただきたいです!リクエストありがとうございます! (6月29日 10時) (レス) id: c571f15b0f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:A | 作成日時:2023年1月7日 11時

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