【wrwrd】煽り愛夫婦

愛情の歯跡 ページ11

はむっと軽い音からいつも始まる。

それは彼が甘えたくなった時の表現方法。私は読んでいた本を閉じて彼の髪の毛を撫でた。




『今度は痛くしないでね』


「……善処します」


『絶対する気ないよね』




ぱくっと首を噛まれたり、耳を口に含まされたり、自分の印や匂いを付いているみたいで少し恥ずかしい。

猫みたいな愛情表現の彼はやがて歯を突き立て始める。





『イッ…！こら！』


「んーーー…」




痛がったり噛んだ後なるべく距離を取る、なんていう猫の躾を耳にしたことがある。

しかし彼に対しては痛がってもまだ続けようとするしお腹に回された腕によって距離を取るなんて不可能に近い。


次第に普段服によって隠れている場所にまで跡を付けようとしてくるのだ。




『ショッピショッピショッピ！何もそこまでする必要はないよ！？』




いつもならこれくらいの時間で終わるのだがどうも甘え足りないらしい。

襟を下にグイッと引っ張って下着の紐が丸見えになってしまう。




「駄目です、大人しくして」




しかし彼は聞く耳を持たない。

ガブガブと鎖骨や肩、裾を捲られればお腹や脇腹、背中。下にいけば太ももやふくらはぎにまで口を寄せるのだった。


エスカレートしていく彼の行動に私は彼の両頬をぱちんっと軽く叩いた。




「なっ…ッ…！」




仕返し、とでもいうように彼の首筋にかぷり、と噛み付いた。

彼の手が緩んでいる隙にするりと抜ける。彼の額にぴち、とついでにデコピンをお見舞いした。





『これに懲りたら、』


「……はァっもう、大好きです…っ…！」


『はい？…ちょちょっ！落ち着くんだショピ太郎！！』




口元を手で覆ってふるふる震える彼に説教をする準備をしているとガバッと抱きつかれた。

突進された衝撃で床に倒れてその上を彼が覆う。


私に噛まれた所をスルッと撫でて嬉しそうに笑う。

どうやら彼には躾など意味を成さないようだ。

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