episode18.3 ページ16
朝起きると、
隣で寝ていたはずのさくらの姿が見えない。
昨日、あんな話をしたばかりだからか、
なんとなく嫌な予感がして、
寝室を飛び出す。
「さくらっ!!」
『わっ!ぷんちゃん!?
びっくりした…!w』
おはよう!
そう言って微笑むさくらの顔には、
見覚えがある。
さくらが踊れなかった時、
俺が強引にダンスをしたいと言った時、
あの時もこの顔だった。
人に心配をかけまいと、
自分の中で処理をしている時の顔だ。
いつもは俺がすぐに気付いて、
手を差し伸べて、
ちゃんと笑えるようにしてやりたいって、
そう思うのに。
今、さくらにこの顔をさせているのは、
まぎれもなく俺だ。
昨日、あの話をした後、
さくらはなんでもないように笑って、
一緒にスーパーに買い物に行って、
並んで料理を作って、
一緒にお風呂に入って、
いつものようにあのセミダブルのベットで
身を寄せ合って寝た。
そのなんでもなさが、
その和やかな日常が、
今はとてつもなく不安だ。
『朝ごはんできてるよ!
食べよう!』
「お、おう…」
不安が言葉に出てしまったようにどもってしまうと、
さくらはふわりと笑って料理を並べた。
今日はさくらの大学も、
俺の仕事も休みで、
俺と一緒にいることで、
さくらの心が壊れてしまうのではないかと、
不安になった時、
『あれ、石田くんだ…』
さくらの携帯が鳴る。
ちょっとごめんね!と、
リビングから出ていくさくらの背中を見る。
石田はきっと、
今でもさくらのことが好きなんだと思う。
でも、俺がいるから今の距離を保ってくれているんだ。
じゃあ、俺がいなくなったら…?
石田はさくらを笑わせて、
幸せにしてくれるのか…?
31人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゴリラ(プロフ) - ご指摘、ありがとうございます。外しました。申し訳ありませんでした。 (2018年8月14日 20時) (レス) id: 92baebc47b (このIDを非表示/違反報告)
、 - オリジナルフラグちゃんと外しましょう。違反行為です (2018年8月12日 16時) (レス) id: 484c9d624e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゴリラ | 作成日時:2017年7月11日 1時