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お願い。arym ページ6

ありやま

俺が山田の頭を撫でようと手をあげるとビクッと山田の肩が震えた。

「っごめん」
「…」

こんなにも怖い思いをさせてしまったんだと昨日のことを後悔する。
山田に熱愛報道が出て感情が抑えきれなかった。
俺は山田が帰ってきて早々に襲ったのだ。
嫌だ、お願い聞いてというこいつの言葉を全部無視して。
ただひたすらに俺の欲望のためだけに。

「ごめん。山田、ごめん。」
「…こわかった」
「うん、もうしない。だから、だからっ別れたくない。ごめん、自分勝手だよな。でも俺、お前がいないとか嫌なんだよ。なんでもするから。本当にごめん」

力の限り謝った。
許してくれるとは思わない。
本当に酷いことをしたから。
でも、それでも俺はお前がいないとダメなんだよ。
お願い。わかってくれ。

「…腰いたい」
「うん、ごめんな」
「声もあんまり出ない」
「うん」
「全身気だるいし」
「うん」
「昨日…昨日こわかった」

山田の目に膜が張る。

「っ…うん、ごめん。無理矢理だった」
「はなしも…聞いてくれなくて……目も見てくれなくて…大ちゃんなのに違う人にされてるみたいだった」

泣きながら話す山田にさらに心が痛む。

「ごめん。本当にごめんなさい」

「…」
「…」

俺たちの間に静寂が訪れる

「今日…」
その空気を破ったのは山田だった。

「今日一日…俺のお願いなんでも聞いて」

それはそうしたら別れなくていいということだろうか。
そうじゃなくてもそのくらいやるさ。
そんなんじゃ足りないくらい酷いことをしたんだ。

「わかった。なんでも聞く」

「…抱っこ」

可愛すぎか。

「ん、おいで?」
手を広げると山田が俺の腕の中に収まった。
そのまま俺の方におでこを擦り付けて「だいちゃんの匂いだぁ」なんて呟いている。

だから可愛すぎか。

*→←停電。arym



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作者名:いちにーぜろぜろ。 | 作成日時:2019年9月28日 13時

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