★2次元にだって嫉妬する - 3 ページ7
「ねえ、なんで嫉妬なんかしたの？どうして？」
「……エイダはショートカット美女だから、本当は、こういうのが、好きなのかな、って……。」
「え？ちょっ！？泣いてる！？」
「泣いてない！泣いてなんかないし……ああいう人が現実にいたら勝ち目ないとか……思ってないし……！」
それは思っている人が言うセリフなんですが、とは口に出さずAが伏せたまま話していることをいいことにニコニコと上がる口角をそのままにしておく。
どうやら想像力豊かな彼女はエイダのような女性が俺のタイプだと解釈しショックを受けていたわけだ。まあ、バイオはリアルに作られているから他のゲームより現実味があったのだろう。だから帰宅前に俺の投稿したタイトルを見て機嫌を損ね、風呂でその動画を見てしまいトドメになった、というところか。
「馬鹿だなぁ……。俺が好きなのはAだけだって言わなきゃわからない？」
「わかんない。」
「そう。……じゃあ、分かるまで言うからこっち来て。」
「えっ？」
立ち上がってAの腕を引きソファへと移動し逃げられないように肩を抱く。そのまま目を白黒とさせて狼狽えている彼女の耳元へ口を近づけて「好きだよ」と囁けばAはあられもない声をあげた。
「声が好き、顔も好き、ちょっと抜けたところも可愛くて好き。」
「へ、あ、まっ、」
「頑張りやなところが好き、俺の実況を見てくれているところも好き、理解があるところも好き。」
そうやってひとつひとつ羅列していけばAの体温はみるみるうちに上昇し羞恥心に耐えきれなくなったのか「ころしてくれ……」と小さく呟くもんだから思わず笑ってしまう。
「俺が1番大好きなのはAだよ。」
「はひぃ……、」
「わかった？」
「じゅ、充分理解できました……だから、もういい……！」
「だめ。これはAが俺の愛を疑った罰なので俺が満足するまで続けるの。」
「そ、そんな理不尽なことある！？」
「ある。」
心配性な彼女がそんな心配をしなくてもいいくらい俺に愛されている自覚を持ってもらうにはちょうどいい機会だ。実は言っている俺も恥ずかしいのだがここまであけすけにできる機会も作らねばないだろうから頑張ろうかなと口を開いた。
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作者名：笹森 糺 | 作成日時：2020年7月18日 18時
