★What's made of? - 1 ページ21
女の子はお砂糖でできている、とか、甘い匂いがする、とか、そんな話を聞いたことは誰でもあるんじゃないだろうか。
「あの、優人さん……?」
「ん?なあに?」
「いえ、その……、えっとぉ……?」
そわそわと俺の腕の中で困惑した様子を見せるAに構わずスンスンと鼻を動かせば柔らかな甘い香りが肺を満たす。
この匂いが製品自体の匂いなのか、彼女の匂いと混ざった結果なのかは知る由もないが嫌な甘さではないため好きなだけ堪能したいと思ってしまうのは我ながら流石に変態すぎやしないだろうか。
「甘い……、」
「あっ、もしかしてこの匂い嫌いでした!?」
「ううん、いい匂いだなと思って。シャンプー変えたんだっけ?」
「はい!あとたまたまですけど友達から誕生日プレゼントに貰った石鹸も蜂蜜の匂いなので頭からつま先まで同じ匂いですね。」
そう言いながら自分の指先を嗅いでいるAも「いい匂い」と嬉しそうに笑う。そんな彼女の言うとおり頭の先からつま先まで彼女は蜂蜜漬けだった。そう考えるとちょっと美味しそうだな、なんて……まあ、そんなこと本人に言えるわけがないけど。
「砂糖菓子じゃなくて蜂蜜漬けかぁ……。どっちみち甘いものだな。」
「なんの話ですか?」
「ああ、いや、女の子は砂糖でできてるとかそういう話聞いたことない?可愛いものでできてるとか、……なんていうの?あれ。特別感、みたいなさ。」
「まあ、キラキラしたものでできてるとかそういう話ですよね?女の子の特権、と言えばいいのか。今の時代に合うかは別ですけど。」
それがなにか?と首を傾げたAに特に意味はなく「思いついただけ」と返せば、彼女は少しだけ考え込んでから歌を口遊む。なんの歌だろうと真剣に聞いても歌詞が英語で意味はさっぱりわからなかった。
「なにそれ。」
「『マザーグース』って聞いたことありません? もしくは『ナーサリーライム』でもいいですけど。」
「それは聞いたことある。」
「それのひとつに、『女の子は砂糖やスパイス、素敵なものでできている』って歌詞があるんですけど、それを思い出してました。」
「へえ、そんなのがあるんだね。じゃあそれが、発祥になるのかな?」
「多分?」
「ちなみにそれって男の子バージョンもあったりする?」
「ありますよ、っていうか、その歌の題名が『
「なるほどねぇ。」
★What's made of? - 2→←勿論、描けますとも! - 3
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作者名:笹森 糺 | 作成日時:2020年7月18日 18時