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「――え？」
トン、と誰かに背中を押されて視界が回る。咄嗟に出た腕が運良く古びたバルコニーの手すりを掴んで、ぶらりと体が大きく揺れ動く。なんとかもう片方の腕を持ち上げて両手でしがみついても私が力尽きるのは時間の問題だった。
「っ、やば、い、」
力を入れて何度か握り直しても体重には勝てずズルズルと自分の意思とは関係なく落ち続ける。どうにかして上へと戻れないか試行錯誤しているうちにヒールは片方脱げて落下し小さな音を立てた。きっと私が落ちたらこの比ではないくらい大きな音を立てるに違いないと想像し、思わず落下地点を確認して直ぐに後悔する。
(こんなに高い場所だなんて思わなかった！)
「ぐ、ぅ、」
「A！そのまま落ちて！」
「え……？ゾム！？何言ってるの！？」
焦っている間にも姿は見えないがゾムの声がどこからか聞こえた……がその指示されたことが明らかに落ちたくない人間にする指示ではない。咄嗟に首だけ勢いよく横に振れば「受け止めるから！」と必死な声が飛んできた。
「俺が受け止める！Aには怪我ひとつさせんから！」
「し、信じていいのね？」
「ああ、俺を信じてくれ！」
そんな力強いゾムの言葉にきつく握られていた手は呆気なく力を失い握っていた手すりを手放す。グン、と重力がかかって耳元で風が逆巻いたあと、気がつけば私はゾムの腕の中にいた。バクバクと恐怖で激しく脈打つ鼓動が耳にこびりついて離れない。そしてそれに呼応するように体が小刻みに震えはじめた。
「間に合ってよかったぁ……！」
「どうしてここに……？」
「朝っぱらから体動かそうって言ったアホシッマに付き合って遊んでたんよ。まあ、俺はガバって即死して別室におったおかげで助けられたんやけど……そんなんどうでもええな。とりあえず無事でよかったわぁ。」
そう言って大きく安堵のため息をつきながらゾムは私をそっと立ち上がらせる。その後壊れ物を扱うような力加減で私を抱きしめた。
久しぶりに感じる彼の体温は昔と変わらず暖かかったが、記憶に残っていたよりもしっかりとした胸板にほんのりと体温が上昇する。
さ、さすが、攻略対象者……！行動が心臓に悪い！！
「なぁ、Aお嬢様。……俺はもうお役御免？」
「そんなわけないでしょう？それとも私よりも良いご主人様でも見つけた？」
「それはない！そうじゃなくて、あの……、ごめんな？痛かった？」
「ううん、大丈夫。ほら、跡もないでしょう？」
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タラコ - ヘルマンさんってもしかして、ヘルマン・ヘッセでしょうか？ (2021年2月14日 22時) (
レス) id: d000e7e9d5 (このIDを非表示/違反報告)
笹森 糺(プロフ) - → ご迷惑をおかけし大変申し訳ございませんでした。これからも何卒よろしくお願い致します。 (2021年2月3日 12時) (レス) id: efe832d826 (このIDを非表示/違反報告)
笹森 糺(プロフ) - → 名前変換を反映するためには1番上の『●お名前』とその下にございます『苗字、あだ名の設定が可能(設定する)』の2項目からそれぞれ設定して頂かなければならないようです。 紛らわしいため登場人物設定は撤去致しましたのでその様にご対応頂きたく存じます。→ (2021年2月3日 12時) (レス) id: efe832d826 (このIDを非表示/違反報告)
笹森 糺(プロフ) - もえさん» もえ様 コメント頂きありがとうございます。ご迷惑をおかけ致しまして申し訳ございません。動作確認致しましたところご指摘いただいた通り登場人物設定では反映しないことを確認しております。大変申し訳ございませんでした。→ (2021年2月3日 12時) (レス) id: efe832d826 (このIDを非表示/違反報告)
もえ(プロフ) - 私の占ツクがおかしいだけでしたら申し訳ありません。登場人物設定において「オルテンシア」と「テン」が設定されていると思うのですが、そこを変更させても本文内で反映されません……。 (2021年2月3日 7時) (レス) id: 9b854a058e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：笹森 糺 | 作成日時：2020年12月20日 23時
