▼▼ ページ30
まあ、ええわと言いながらマンちゃんは机に紅茶を並べていく。ふわりと香ったいい匂いに顔を綻ばせればマンちゃんは「ええ匂いやろ？」と嬉しそうな顔をしたので、うんうんと同意し頷こうとした時総統室のドアがすごい音を立てて開いた。
「Aお嬢様！！ご無事ですか！？」
「ご、御機嫌よう、エーミール。お元気そうね？」
「ああああ……！なんと痛々しいお姿に……！」
「いや、傷はついてないからね？これ跡隠しだからね？この紅茶飲んでちょっと落ち着こう？」
「ありがとうございます。失礼します。」
「もう……ちゃんとお座りなさい……。」
物凄いスピードで私の近くに膝を着いたエーミールは私の手を取ってすごく悲しそうな顔をする。この慌てようは多分ゾムとの一件はすでに聞いているのだろう。首に巻かれた包帯を見て泣きそうな顔をした彼に紅茶を勧めれば床に膝を着いた状態で飲み始めたので静かに手を引いて隣に座らせる。
「俺が連絡した時は何もなかったのに急にどうしたん？」
「オスマンさんに連絡を頂いたあとゾムさんとトントンさんと鉢合わせまして……おふたりは今医務室に居るかと。」
「ゾムが一方的にボコられたんちゃうん？」
「ええ、そうです。ですのでトントンさんは付き添いですね。しかしまさかゾムさんがお嬢様に手を挙げるとは思わず私も気が動転してしまいました。お見苦しいお姿をお見せしてしまい申し訳ございません。」
そう言ってエーミールは軽く頭を下げるので気にしていないという意味を込めてミルクティー色の髪を撫でれば彼は一瞬驚いたような顔をしたが直ぐに嬉しそうに笑顔を浮かべた。
あ〜！！この人は昔から変わらず可愛いな〜！！ゾムもそうだが頭を撫でると嬉しそうな顔をするので昔からつい手が出てしまう。
「これは意外な伏兵だな。」
「伏兵というよりペットやろ、あれは。敵ちゃうで。」
「へ？敵？」
「ははは、オスマンさんの言うとりですよ。強敵は私よりもゾムさんですって。」
「エーミール！あなた何を言うの！？ゾムは味方でしょう！？」
「あかん。この子なんも分かっとらん。これはグルちゃん大変やぞ？」
「昔からそうだったから今更なんだよなあ……。」
「確かに昔から一筋縄じゃいかんかったな。すまん。」
紅茶を嗜みながらボソボソと2人で仲良く話すグル様とマンちゃんの会話は生憎と聞こえず私はマンちゃんに新しく用意してもらった暖かな紅茶を味わった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 292人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
タラコ - ヘルマンさんってもしかして、ヘルマン・ヘッセでしょうか？ (2021年2月14日 22時) (
レス) id: d000e7e9d5 (このIDを非表示/違反報告)
笹森 糺(プロフ) - → ご迷惑をおかけし大変申し訳ございませんでした。これからも何卒よろしくお願い致します。 (2021年2月3日 12時) (レス) id: efe832d826 (このIDを非表示/違反報告)
笹森 糺(プロフ) - → 名前変換を反映するためには1番上の『●お名前』とその下にございます『苗字、あだ名の設定が可能(設定する)』の2項目からそれぞれ設定して頂かなければならないようです。 紛らわしいため登場人物設定は撤去致しましたのでその様にご対応頂きたく存じます。→ (2021年2月3日 12時) (レス) id: efe832d826 (このIDを非表示/違反報告)
笹森 糺(プロフ) - もえさん» もえ様 コメント頂きありがとうございます。ご迷惑をおかけ致しまして申し訳ございません。動作確認致しましたところご指摘いただいた通り登場人物設定では反映しないことを確認しております。大変申し訳ございませんでした。→ (2021年2月3日 12時) (レス) id: efe832d826 (このIDを非表示/違反報告)
もえ(プロフ) - 私の占ツクがおかしいだけでしたら申し訳ありません。登場人物設定において「オルテンシア」と「テン」が設定されていると思うのですが、そこを変更させても本文内で反映されません……。 (2021年2月3日 7時) (レス) id: 9b854a058e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：笹森 糺 | 作成日時：2020年12月20日 23時
