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今日で何日、外に出ていないだろう。
ﾋﾟｰﾝﾎﾟｰﾝ
無機質なインターフォンが部屋に鳴り響いた。
ﾋﾟｰﾝﾎﾟｰﾝ
私が反応しないでいると、しばらくして２回目が鳴る。
私は誰だか確認するだけでも、と重い身体を持ち上げて玄関の除き穴から外を見て、固まる。
なぜなら、扉一枚向こうに立って、今の２回、インターフォンを鳴らしたのが、河村さんだと分かったからだ。
私は開けるのをためらうも、心の奥底に住み着いた恋情の方が、どうやら打ち勝ったらしい。
私は恐る恐る、静かに、何日かぶりに玄関の扉を開いた。
「お久しぶりですね。Aさん。」
河村さんは、一瞬驚いたように目を軽く見開いて、一つため息をついてからそう言った。
『お久しぶりです。河村さん。』
そう言った私の声は、酷く小さく、弱々しかったように思える。
「悪いとは思いますが、拒否されてもあがらせていただきますから。」
河村さんは、お邪魔します、と言いながら私を中に追いやり、部屋に入ってくる。
河村さんは散らかっている部屋を１度見回してから、私の方へ視線を移し言う。
「僕はAさんが回復したらまず、お説教しようと思っているので。」
その発言に私は虚を突かれ、その場で止まる。
河村さんはそんな私もお構いなしに、覚悟しておいてくださいね、と付け加える。
『…はい。』
私がそう返せば、河村さんは軽く微笑む。
「色々あったというのは聞いていますが、まず最初に。」
そう言いながら河村さんは私にゆっくりと近付いてくる。
「君が生きていてくれて、本当に良かった。」
河村さんが私をふわりと優しく抱きしめる。
『え、ちょっと……、河村さん、彼女いらっしゃるでしょう？』
私が第一にそれを口走ったのは、河村さんの恋が実ったことへの哀しみが心の底に染み付いていたからなのか、否か。
はたまた照れ隠しだったのか。私にはわからなかった。
「それならAさんがオフィスに来なかった間に別れました。何があったかは君が回復したら話します。」
それは、彼なりの私に早く回復しろ、という命令のようなものなのだろうか。
『……はい。』
「全く、僕らがどれだけ心配したと思っているんですか。」
河村さんは、私を抱きしめたままそう言った。
私は河村さんの暖かさに包まれたまま、すみません、と言った。
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蒼衣瑠璃(プロフ) - [作者の独り言]ひとまず、完結まで持っていくことができました。読んでくださっている皆様、本当にありがとうございます。 (2019年7月5日 22時) (
レス) id: 9b47b20b96 (このIDを非表示/違反報告)
蒼衣瑠璃(プロフ) - さくらさん» コメント、ありがとうございます。短編集の方からとは、ありがたいです。短編の方では書けなかった部分も書けたらいいな、と思っています。今後ともよろしくお願いします！ (2019年7月3日 23時) (レス) id: 9b47b20b96 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 中編として出されたんですね！(短編集から来たものです)どの作品も本当に面白く、更新楽しみにしています！！これからもお願いします！ (2019年7月3日 22時) (レス) id: 5f0271f313 (このIDを非表示/違反報告)
蒼衣瑠璃(プロフ) - 茶之助丸さん» コメントありがとうございます。中編ですし、ストーリーはもう決まってますので、バシバシ更新していきたいです！今後ともよろしくお願いします。 (2019年7月3日 0時) (レス) id: 9b47b20b96 (このIDを非表示/違反報告)
茶之助丸(プロフ) - ランキングおめでとうございます！お話すごく好きです！更新楽しみにしてます。頑張って下さい！ (2019年7月3日 0時) (レス) id: 1cdd5a0197 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼衣瑠璃 | 作成日時：2019年7月2日 0時
