さわんないで_fkr ページ5
病み及び流血表現が入ります。苦手な方はブラウザバック又は読み飛ばしをお願いします。
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ガチャッと音を立ててゆっくりと開いたドアに私は気付かれたかもしれないという恐怖を抱く。
『ふくら……さん』
自分自身に刻んだキズがバレないようにと私は必死になって腕とカッターナイフを隠す。
しかし、ポタ、と垂れた赤い液体が私のお粗末な努力を一突きで壊す。
「Aちゃんッ!」
福良さんは、大きく声をあげると同時に私に近付き、カッターナイフの握られた方の手首を掴む。
『さわん……ないで…っ』
私は泣きながらそう叫ぶ。
本当の本当に触れないで欲しい。
彼の__福良さんの優しさを、私は求めてしまうから。
お願いだから触んないで。
私の腐りきった心を包み込むように優しく触れるなんてやめて。
「ごめん、嫌だ」
福良さんはその言葉を発すると共に、いやもしかしたらそれよりも幾分か早く、私を抱きしめた。
福良さんの服に、血が付いてしまったかもしれない。
そして私はゆっくりとカッターナイフの刃を仕舞う。
「……辛いなら、俺じゃなくてもいい。だから誰かに助けを求めて、お願いだから…っ」
福良さんがとても辛そうに話すから。
だから私はこの甘い拘束をほどくことも、反抗することもなにも出来なくなってしまう。
『……福良さんが…いい』
「それなら俺が聞く、全部聞くから。自分で自分を傷付けるAちゃんなんて見たくないッ!」
少しだけ上から聞こえる鼻を啜る音で、福良さんが泣いていることに気付く。
どうしてこの人は、他人のことをここまで思いやれるのか。
だから、私はこの人の優しさに絆されて、求めることと溺れることしか出来なくなってしまうのだ。
『……ごめんなさい』
私は数分間、福良さんの腕のなかで涙を流しながら、ポツポツと話し始めた。
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このような内容は苦手な人が少なくないだろう、という理由よりボツとなりました。
ネタが先に思い浮かんで、相手を誰にしようかと後から考えたモノです。
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蒼衣瑠璃(プロフ) - [作者の独り言]甘く溶かして、今回は甘く、そして少しだけ裏に近い要素を入れたのですが、人選は1番煽られそうなイメージのある人です(超失礼) (2019年7月8日 12時) (レス) id: d8cfcd1bd9 (このIDを非表示/違反報告)
蒼衣瑠璃(プロフ) - さくらさん» 感想、ありがとうございます!どんな内容でも、こうコメントしてくれるだけで私はとても嬉しいです!今後とも日常シリーズをよろしくお願いします。 (2019年7月1日 21時) (レス) id: 9b47b20b96 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 前の方(kaebomさん)とほとんど同じ内容になってしまい申し訳ないのですが、、『嫌いで、大嫌いで』という作品本当に好きだなと思ったのでコメントさせていただきました。次からのお話も楽しみにしていますので、無理のない範囲で頑張ってください! (2019年7月1日 16時) (レス) id: 5f0271f313 (このIDを非表示/違反報告)
蒼衣瑠璃(プロフ) - kaebomさん» 感想、ありがとうございます。ぶっつけで書いたものなので、そう言っていただけると今後のモチベーションになります!これからも日常シリーズをよろしくお願いします。 (2019年7月1日 12時) (レス) id: 9b47b20b96 (このIDを非表示/違反報告)
kaebom(プロフ) - 嫌いで、大嫌いで という作品とても好きです。もちろんほかの中短編も良いのですが感想を書かずにはいられないくらい私の心をつかんでしまいました。お体に気を付けて頑張ってください。応援しています。 (2019年7月1日 12時) (レス) id: a789452ecd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼衣瑠璃 | 作成日時:2019年4月14日 14時