日常と非日常の小話【短編集】

short story_izw,fkr,ymmt ページ13

隣の部屋から聞こえる柔らかい歌声に、俺は耳を澄ませる。それはうちの数少ない女性ライターの歌う恋の唄。それも俺が好きでよく口ずさんでいる曲。少し期待してしまうな、なんて戯れ言も過ぎるな。その一方、俺に芽生える悪戯心。俺はニヤケないように抑えてドアを開ける。「それ、俺に歌ってくれてんの？」俺の言葉に頬はおろか、耳や首まで真っ赤にして固まる君。やっぱり、期待してしまってもいいだろうか。

『内緒の恋唄_izw』



　「福良さんのダンス見てみたいです。」そうAに期待の眼差しを向けられる。あまりにも熱い眼差しを向けられるものだから、俺は苦笑してちょっとだけだよと言って立ち上がる。軽くステップを踏んで踊って見せれば、Aはキラキラと目を輝かせる。可愛らしいな、と思った俺は悪くないだろう。「ふふ、惚れ直しちゃいますね。」なんて言って照れたような笑みを浮かべるAに俺はつい見とれてしまう。そんなのズルイと思わないか。

『Shall I dance?_fkr』



　俺は写真に写る彼女を見ながら尋ねる。「何か最さ、Aよくダブルピースしてない？」当の本人は、俺の質問に何故か分かりやすく肩を揺らす。そんな動揺するようなことだろうか。「そ、そんなこと…無いよ……？」何だかよく分からないが、いかにも怪しいので軽く問い詰めてみる。そうすればAは両手を挙げて、小さく降参、と眉を下げる。「…山本くんの真似したの。」そう言ってそっぽを向いたAの耳は赤い。全く、可愛いな。

『ダブルピース_ymmt』

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