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柱合会議からさらに数週間。
包帯を切らしたので、蝶屋敷に向かった。
その日の蝶屋敷は変だった。
いつもは手の空いているチビが出てくる筈なのに、わざわざ胡蝶が出向き、いつもは屋敷にすぐ上げてもらえるのに中々上げてもらえず、部屋へ移動する間も誰も見なかった。
包帯を貰うなり部屋を出され、蝶屋敷から遠のくまで胡蝶が見送ってくれた。いつもなら、用事がない限り誰かが話しかけてきて、少々お邪魔するのが普通なのだ。
見送りも、胡蝶が見送ってくれるなんてよっぽど世話になった時くらいで、普段はチビか誰もいないかなのだ。
違和感を覚えつつも、その日はすぐに忘れた。
家で鍛錬をしていると鴉から指令が届いた。
佐倉さんと数名の隊士との合同任務だった。
内容的には、十二鬼月の目撃情報ではなく、そこそこの強さを持った鬼が数匹巣食っているというものだった。
隊服に着替え、刀を差し、任務地へ駆け出した。
着いてみると集合時間まで余裕があったので軽く街を下見すると、思ったより広く、街に住む人の数も多い。
苦戦するかもしれない。
いい具合に日が傾き始めたので集合地に向かった。既に他は皆着いており、Aが最後だった。少し遅れた所為か、場の雰囲気が少々悪い。しかしパッと見た感じ中々実力派揃いなので連携は取れるだろうと考えた。
一呼吸おいたが、誰も喋る気配がないので先に口を開いた。
『先刻、街の下見をしてきたんだが、此処は規模がでかく、一般人も多い。全員の一斉避難は厳しい。だから、今回は2班、戦闘班と救助班に分かれて行動することにしようと思う』
全体を見回し、
『何か、意見はあるか?』
静まり返った場の空気を持て余し、唐突な問いを投げかける。
『足に、自信のある奴は?』
3名の隊士と、佐倉さんが手を挙げる。十分な人数だと判断し、その4人に救助班は決定。
残りの隊士とAを戦闘班とし、これにて解散。鬼が現れるまで各自巡回となった。
深夜。
ひときわ甲高い声と、後からどやどやと大勢の怒鳴り声。
鬼だ。
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作者名:蒼空 | 作成日時:2020年12月6日 22時