*6話『かけられる水』* ページ7
バサッと、私の頭に何かが被せられる。
それから間もなく、ツンと鼻を突く臭いがした。
ゴミだ。
『え…?』
「くすくすっ、ごめんねぇ、手が滑っちゃったぁ〜」
「悪いけど、片付けてくれる?私らさぁ、先生に呼ばれてるんだよね〜」
『で、でも私…』
「私がやってって言ってるんだからやってよ。それとも何?何か用事でもあるの?」
『っ…』
大ガマと待ち合わせしてるって言ったら…
『無い…けど…』
「じゃあけってーい!ありがとうね」
「うける(笑)本当にやるんだ」
私はまた我慢してしまった。
だけど、それはこれだけに留まらなかった。
『な、何?あの…人と待ち合わせしてるんだけど…』
「それってー、この人のこと?」
『…!』
私に見せられたのは、とある画像だった。
その写真は大ガマとクラスの女の子が二人で腕を組んで歩いてるところだった。
『こ、これって!?』
「さっきね、教室から見えたんだ〜。待ち合わせしてるのって大ガマくんでしょ?でも女の子と帰っちゃったね〜。アンタが遅いから愛想つかして先に帰っちゃったんじゃない?
…彼女とね」
『え?でも、大ガマ…彼女なんて…』
「アンタが知らないだけじゃない?見てよほら、こんな笑顔の大ガマくん見たこと無いんじゃない?」
『…っ』
私は走って家に帰った。
悲しい。
そうだよ、大ガマと私は付き合ってなんか無いし、大ガマが私に気持ちを伝えたからって私は断ったんだし…大ガマに彼女がいてもおかしくない。
それに、大ガマに彼女ができたんなら私に構うことも無くなるよ。
これはこれでいいじゃん。
私は何も心配せずにこれから過ごせる…なのに…
なのに、何で…。
何で、涙が止まらないんだろう。
『…』
「あっ、戻ってきたよ」
私は次の日の掃除の時間、一度雑巾を洗うために教室を出た。
それから帰ってきた。
『皆…どうしたの…』
「くすくすっ、用意は良い?」
「いつでもオッケー!」
「いくよー!せーのっ!」
『…!!』
皆が持っていたのは水の入ったバケツ。
それも、少し汚い。
そのバケツは私に向けられ、水が振りかぶった。
バシャッ
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シークレットハット - わかりますそれヾ(゚▽゚*)いい作品ですね(≧▽≦) (2016年5月10日 20時) (レス) id: 4af10f54a6 (このIDを非表示/違反報告)
白苺@歩兎(プロフ) - みゆさん» やっぱり辛いですよね。そういうことがなくなれば良いんですけど…… (2015年10月6日 22時) (レス) id: 965d428419 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ - 私もこの小説のようなことがあってとても気持ちがわかりました (2015年10月1日 21時) (レス) id: 3cf7b4a2b6 (このIDを非表示/違反報告)
白苺@歩兎(プロフ) - 炎の蛇神@サラマンダさん» いつか、本当に愛せる人ができますよ。そんなことで縁が切れるのなら、その人は本当の友人じゃなかったんじゃないでしょうか。自分をどんなときにでも助けてくれる人が、本当の友達ですよ。 (2015年8月8日 12時) (レス) id: 965d428419 (このIDを非表示/違反報告)
白苺@歩兎(プロフ) - 八雲 紫さん» 確かにですね(笑)まあ、こんな思いをする人が減ったら良いなぁと思っている次第です。 (2015年8月8日 12時) (レス) id: 965d428419 (このIDを非表示/違反報告)
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