＊２話『居場所』＊ ページ3
俺には、好きな奴がいる。
そいつは学校では嫌われてて、いじめられているらしい。
俺は違うクラスだから詳しいことは知らないけど、あいつが自分から打ち明けない限りはそのことは聞かない方が良いのかと思った。
本当は俺が一番相談に乗って、守ってやらないといけないのに。
それなのにあいつは見えない壁を作っている。
気持ちの壁、と言ったところだ。
本当は全てを知りたいし、あいつの心の支えになってやりたい。
けど、それをするにはあいつが壁を壊してくれないと、聞こうにも聞けない。
だから、影でしか守ってやれないんだ。
「なぁ、お前ら何してんの」
「あっ…大ガマ…」
「やべぇ、逃げるぞ」
「…上靴隠そうとしてんのかよ。だっせぇ」
俺は落書きされ、地面に落ちた上靴を拾った。
勿論それは紛れもなくあいつの物で。
ダセェ。
いい年こいて上靴隠しかよ。
さっきの奴等にとってはこんなの所詮ゲームに過ぎないんだろうな。
だけど何でその的《ターゲット》があいつなんだよ。
意味わかんねぇよ。
あいつは何もしてないだろ。
お前らが的《ターゲット》になれば良い。
そしたら少しはあいつの気持ちがわかるだろうに。
「言ってくれよ…」
何で俺を頼りにしてくれないんだって、寂しい。
今、あいつの気持ちが一番理解できるのは俺なのに、何で頼ってくれないんだよ…！
少しくらい頼ってくれたって良いじゃんか。
「おーす、一緒に帰ろうぜ！」
『…うん』
だから俺は表立ってあいつに話しかけることはしない。
きっと、あいつもそう望んでるし、そうしないとあいつはもっと思い詰める。
本当は気付いているけれど、言えない。
「A、悩んでることがあったら言ってくれよ？」
『…！うん』
ニコッと無理な作り笑いをして応える。
そんな顔を見るのが辛い。
大好きだ、A。
だからこそ、力になりたい。
お前の居場所になりたい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 8人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シークレットハット - わかりますそれヾ(ﾟ▽ﾟ*)いい作品ですね(≧▽≦) (2016年5月10日 20時) (
レス) id: 4af10f54a6 (このIDを非表示/違反報告)
白苺＠歩兎(プロフ) - みゆさん» やっぱり辛いですよね。そういうことがなくなれば良いんですけど…… (2015年10月6日 22時) (レス) id: 965d428419 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ - 私もこの小説のようなことがあってとても気持ちがわかりました (2015年10月1日 21時) (レス) id: 3cf7b4a2b6 (このIDを非表示/違反報告)
白苺＠歩兎(プロフ) - 炎の蛇神@サラマンダさん» いつか、本当に愛せる人ができますよ。そんなことで縁が切れるのなら、その人は本当の友人じゃなかったんじゃないでしょうか。自分をどんなときにでも助けてくれる人が、本当の友達ですよ。 (2015年8月8日 12時) (レス) id: 965d428419 (このIDを非表示/違反報告)
白苺＠歩兎(プロフ) - 八雲 紫さん» 確かにですね(笑)まあ、こんな思いをする人が減ったら良いなぁと思っている次第です。 (2015年8月8日 12時) (レス) id: 965d428419 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
