たかがBL短編集2

想い届け5 ページ20

ジンside

悠「なあ、お前さ、マホトのこと嫌いなの？」

じ「……は？何で？」

渡邉と豊田が行ってから10分ほど経ったくらい、続く無言にしびれを切らしたのか悠人が口を開いた

悠「だって二人全然話してないじゃん」

じ「それはお互いあんまり知らねえってだけだろ」

悠「でもせっかくクラスメイトになれたんだし、今こうやって一緒に軽井沢来てんだから仲良くしよーぜ」

じ「…お前さ、あの部屋割りわざとだろ」

悠「んなことねーよ
普通に考えて耕大たちとお前らをバラバラになんて普通はしねーよ
気まずすぎだろ、初対面だし」

俺と渡邉の方が気まずいってこと、こいつわかってねーな…

じ「そーかよ」

悠「うん
てかあいつら遅くねーか？何かあったんかな」

じ「はっ、二人でいちゃこらしてんじゃねーの」

悠「え、なにそれw
男の子同士のやつ？w」

ニヤニヤしながら聞いてくる悠人を横目に、自分の今の言葉が頭の中に響く

それから、目尻にしわをよせながら笑う顔と、俺を嫌そうに見る渡邉の顔
あとはさっきの豊田の喜んだ顔

なぜかそれを思い出すとイライラが募る

悠「あ、やっと帰って来た」

とても明るいとは言えない懐中電灯でも暗闇に慣れてしまった目には眩しすぎる
懐中電灯を、もっている豊田の後ろには少しだけ頬を赤らめた渡邉が続いて帰って来た

それを見て勝手に体が動いた
冷静じゃなかったのは確かだ

ま「は？ちょっと、おい！」

焦った声を耳に細く白い腕をまた暗闇の中に引きずり込んだ

ま「おいっ！カワグチ！お前何やってんだよ！
止まれよ！」

入り口にいる二人には見えないところまで来て足を止めた
急に止めたから背中に渡邉が勢いよくぶつかってきた

ま「って〜…
何急に止まってんだよ！！」

じ「お前が止まれっていったから」

ま「…っ、んなことよりなんで俺を連れてきたんだよ！」

じ「うるせーなー…」

ま「はっ、うわっ…っと」

まだ掴んでた腕を自分の方に引き寄せた
俺より少し低い背が目の前にある
その頬はさっきみたいに少しだけ、でも耳まで赤く染まっていた

じ「その顔あいつにも見せたのかよ…」

ま「は…？
おい、カワ……グチ？
お…………い……！」


あれ？
何か、渡邉の声が遠くなってく



なんで……？





待って、置いてくなよ





また……あんな思いはしたくない……





一人に、しない、で……






目の前に驚いた、焦った顔の渡邉を最後に俺の記憶はここで終わった

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