甘い口付けを

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ゆうこんside


とにかく泣いた
どれくらい泣いたか分からない
体中の水分全部無くなったんじゃないかってくらいに

優大の腕の中で泣いた

どれくらい経ったんだろう
目をうっすら開けると、記憶に残った天井が目に入った

優「ああ、気付いた？」

ゆ「…優大」

優「雄代の家じゃあいつ帰ってくるかと思ったから…
俺ん家だけど我慢して？」

この笑顔に、ホッとする

ゆ「あっ、俺、ごめん…
泣いて…」


ああ、そっか

俺、サグワに振られたんだ

あいつには今俺じゃない恋人がいて、その恋人は男じゃなくて女の子で…




可愛かった
綺麗だった

悔しかった

俺はどんなに頑張っても、女にはなれない
あいつの彼女にはなれない

また涙が出そうになる
さっきあれほど泣いたのに、優大にまで呆れられる

その思いに気付いたように


優「…いいよ、泣いて」


抱き締められた
さっきみたいに


ゆ「うぁっ…っ、」


もういっそ、この優しい声に身も心も

委ねてしまいたい




ゆ「っ、サ、グワ……」

でも、それができない自分を心から恨みたい
いくら考えないようにしても

頭に浮かんでくるのはサグワの顔だった

怒った顔、悔しがる顔、泣いた顔、一生懸命な顔、笑った顔……

俺にしか見せないと思ってた表情とか仕草とか、言葉は

そんなこと無くて

きっとあの女の子にも見せてるんだ

このどこにも行き場のない気持ちは、どうすればいいんだろう……

優「ねぇ、そんなにあいつがいいの？」

ゆ「……へ？」


優大の顔は、いつもみたいな笑顔じゃなくて
悔しそうで、寂しそうな顔をしてた


優「俺は、俺じゃダメなの？
あいつよりも雄代のこと愛してやれる

俺は、ずっと側にいてやれるから…」




サグワに似た顔が近づいてくる






もう
この流れに身を委ねてもいいよね……






ねえ、サグワ……

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