甘い口付けを

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ゆうこんside


優「あ、お粥食べる？
雄代熱っぽかったからさっき作ったんだよね」


ゆ「まじか
じゃあ食べる」


優「持ってくるね！」


尻尾見えるんじゃねーかってくらい喜んで部屋を出ていった



ふぅ、と一息着いた時、部屋の向こう側でドアの開く音と怒鳴り声が聞こえた


その声は優大以外の、聞き覚えのある声だった


優「ちょ、てめえ…だよ！！」



サ「ゆう…を…んだよ！」



するとバンッと音をたてて部屋のドアが開いた


ドアの前には明らかに怒ったサグワがいた


ゆ「サグワどーしたの？！」


ベッドから出ようとしたが体がふらついて視界が斜めになった


あ、やばい


と思った

でも痛みはなかった

代わりに目の前に優大の大きな胸に引き込まれて


ゆ「あ、ごめん…」


優「いいよ、でもまだ休んでなきゃダメだよ」


サ「…おい」


今まで聞いたことないくらいのサグワの低い声
その目は人を殺しそうな程の殺気が宿ってた


ゆ「ちょ、サグワ落ち着いて…」


サ「落ち着いてられるかよ！！」


優「兄貴うるせぇよ
てか帰れよ」


サ「あ？さっき雄代迎えに来たって言っただろーが

雄代、早く帰るよ」


いつもはサグワから雄代と呼ばれないから、ちょっと照れる

って今照れてる場合じゃねーんだってば


自分に言い聞かせサグワの方を向く


ゆ「分かった」


優「ダメ
まだしばらくは安静にしといた方がいい」


サ「俺がおぶってくからいい


どけ」


未だに優大の胸の中にいた俺と優大を引き剥がすようにし、サグワに腕を掴まれ肩に回され
そのまま体が中に浮いた


ゆ「ちょ、サグワ重いって…！」


サ「じゃーな優大」


無視かよ…




優「……まだ、昔のこと引きずってんの？」


サグワの肩がビクッと震えた


サ「…」



優「…雄代、また来てね」


ゆ「…？

おう！あ、ありがとーな！」


そのままサグワは何も言わずに優大の部屋を出た



それからタクシーをつかまえサグワの家まで帰った

それまでの間、サグワと一言も話さなかった






いや、話せなかった





サグワが悲しそうな、寂しそうな顔をしてたから



昔のことって何？



それって、俺に言えないことなの？



また、頼ってくれないの？



頼ってくれても良いのに



タクシーの狭い空間で隣に座るサグワがとても
遠く感じた









俺はサグワの中ではまだ、それほどの存在にはなってないの？

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