TIME 7 ページ8
鉱山を出れば、すっかり空には星々が煌めいている 穏やかな夜になっていた。
「まあ二人とも無事だったみたいだし、石も採れたみたいだから帰ろ___」
ドクンッッ、と 心臓が大きく跳ねて私の息を止める。
「ッ…!!」
エ「…おい?」
ダメだ。この2人の前で、こんな姿は見せたくない。
流れ出る冷や汗と、早く打つ鼓動をひた隠して 笑顔を貼り付ける
「ううん!なんでもない!!でもちょっと待って、私向こうにほうき置いてきたから…2人で先帰って??私、ほうきで一人で帰るから!!」
半ば早口気味にそう言い放つと、私はすぐ脇にある森の中へと入っていった。
「っ、はあ……はぁ…はぁッ!!」
00:00になると少しの間だけくるこの発作。
心臓が跳ねて、息が止まるような苦しさとともに鼓動が早くなる。
手はふるえ、冷や汗も止まらない。
横になって、浅く息を繰り返す。
あの日からずっと、歳を重ねる度酷くなっていくこの発作。
これもきっと、あの子の"
私はきっと、そう永くない。
瞬く星々は まるで私のことなど見えていないかのように輝く。
今年になって特に酷くなってきたこの発作は、最近では私の意識さえも奪うようになってきた。
震える手を空にかざせば その震えはよりいっそうはっきりと見えた。
「…はは。もうちょっと…待ってくんないかなあ。」
どうせ呪いに勝てないなら、せめて人生で初めての恋ぐらい もう少し楽しませてほしい。
唯一見つけた、私の光。
チェリーレッドの…綺麗な瞳をした、明るくて眩しいハートのトランプ兵。
頭に浮かぶのは、あの眩しい笑顔ただ一つ。
今のこの早く鼓動する胸は…
あの子が私にかけた恨みの呪いか、
それとも
あの人が私にかけた初恋の魔法か……。
その疑問に答える声はなく、ただただ星々が輝いて私を照らすだけだった。
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作者名:莉音 | 作成日時:2021年6月23日 1時