TIME 10 ページ11
｢言っておきたいんだ…残された時間の中で。伝えられるだけ伝えたいの｣
エ｢…お前、まさか｣
｢いやあー私本来ナイトレイブンカレッジの生徒じゃないじゃん！？だからもし急に本来行くはずだったとこに転校しろーーってなったらさ、そうなったら…もう、言えなくなるじゃん？？｣
…我ながらよくここまでスラスラと嘘がでてきたな。
本当は、そんなことが理由じゃないのに。
ねえ、"バカ"なエースなら…この意味 分かってるよね？
でもね。エースが好きっていう気持ちに嘘はないんだよ。
それさえ伝われば…それだけで十分
エ｢…俺が仮にもし、おまえの好きやらかっこいいやらに応えて…俺も好き〜、とか、お前も可愛いよ〜、とかって言ったら、お前どうすんの？｣
予想していなかった質問に思わず言葉が出なくなる。
そんなこと言われる可能性なんて考えてなくて…ただ、自分が伝えれたらいいとしか 思ってなかったから…
｢…私、恋愛のことなんてわかんないから。
恋の魔法なんて、習得してないし…てか私自身 恋なんてしたこと無かったから…だからもし、もしそうなった未来には…エースが私に その恋の続きを教えてよ｣
エ｢………。なんか、マジで変な奴だわ、お前。｣
｢ふふっ。あべこべで不思議な世界の兵隊さんにそう言われちゃ敵わないね｣
エ｢…俺だけかよ。そう言ってんの｣
｢え？｣
ふと小さくそう呟いたエースの方へ振り返ると
｢っえ、ちょっ…｣
エースは私との距離を縮めるように向かってきたから、思わず距離をとろうと後ずさる。
トンッ、と背中が本棚についた時、エースは私の横に手を着いた。
今までにないくらい近い距離に思わず息を呑む。
エースは真剣な顔をして真っ直ぐ私の目を見ていた。
｢っ…エー、スっ｣
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作者名：莉音 | 作成日時：2021年6月23日 1時
