歩む道。 〜With a lot of love〜

35 side Nissy ページ35

打ち上げ、なはずだったのに。


なぜか俺たちの結婚祝いを一緒にみんなが計画してくれていて、その日の夜はとても思い出深いものになった。



編集作業がまだまだ残ってるとはいえ
ひとまず終わった安心感を抱えて。




歌って、飲んで、食べて、笑って、踊って
楽しい時間が過ぎていく。




スタッフさんたちと笑いながら話すAを見ながら、俺も久しぶりにお酒を解禁していると隣にクリスが座った。




コツンとグラスを合わせると




ク「Aはきれいになったね。」




そう言ってにやりと笑う。




西「そうなんだよね。もう心配で心配で外に出したくないくらい。」

ク「プリンセスが心配なんだね、愛しすぎて。」





愛しすぎて、か…。



矛盾する俺の気持ち。



また一緒に仕事がしたいと思うくせに
誰の目にも映らないように閉じ込めたい願望。




西「大切なんだ、すごく。

だから傷つかないように、傷つけられないように。
そーっと包んでいたいって思うのは変なのかな。」


ク「それだけAを愛してるってことだろ。」




まあ、そうなんだけどね。
そう言ってグラスを口に運ぶ。




西「愛する人がそばにいてくれることは奇跡だと思わない？

好きなことを仕事にできることも、健康な体も、こうして仲間と過ごせることも。

全部全部。

生きていくことは奇跡の積み重ね、って最近すごく思うんだ。」





体に染み込むアルコールが普段言わないようなことを言わせてるのかもしれない。





ク「その通りだね。」


西「だから、その奇跡がずっと続くようにAを抱きしめて、離したくなくて。で、守るために、ちゃんと今を大切に生きなきゃって思うんだ。

いまは、いましかない。


そう思ってる。」




酔って真面目な話をしだすと、どんどん酔いが回る気がする。



ク「さっきAも同じ言葉を使ってた。奇跡って。」

西「へ？」

ク「今ここにいられることが、どれだけ尊いことか知ってるから、今この瞬間、笑うことができている奇跡を大切にしたいんですって言ってた。」

西「そっか…。」

ク「そういうの、似たもの夫婦、っていうんでしょ日本では。」




似たもの夫婦、か。
その意味はちょっと違うような…？
でも。




西「そうかも…、ね。」




俺達は似たもの夫婦であることに変わりはないから、俺はクリスに笑いながらそう答えた。

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