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西「俺がさ、おじいちゃんになっても俺の歌聴いてくれるっていってたやん。」
「はい。」
西「あのさ…もっと何年も経って、年を重ねて…
のんびり仕事ができるようになったらさ…その、」
そこまで言って
少しためらうように唇を噛んだたか。
「西島さん?」
ス「にっしー、ちょっといい?」
私が問いかけたのと同時に、スタッフさんがたかを呼ぶ声。
西「…っ、ごめん。行ってくる。」
「はい。」
もうっ、タイミング悪いなって呟きながらまたスタッフさんの輪に戻っていくたか。
そして。
その日のすべての仕事が終わって、
それはここでの私の臨時マネージャーとしての役割も終わった。
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打ち上げまでの少しの時間。
誰もいないレコーディングブースに入ってみる。
「終わっちゃったなぁ…。」
やりきった充実感と心地よい疲労感とともにほんの少しの寂しさを噛み締める。
西「終わっちゃったね。」
「西島さん…!お疲れさまでした。」
西「ん、Aもね。こんなとこで何してんの?」
「見納め、かな。楽しかったなぁって思って。」
西「そっか。」
「作品の出来上がり、楽しみにしてますね。」
きっと西島さんの頭の中には出来上がるものが見えていて、でもそれはきっと今は誰にもわからなくて。
この先の編集作業に私がかかわることはないから、どんなふうに仕上がるのかすごく楽しみだ。
西「絶対いいものになると思うよ。」
そう話す表情は
わくわくを止められない少年のようだ。
みんなに
届けたい、伝えたい。
みんなを
驚かせたい、笑顔にさせたい、喜ばせたい。
そんな気持ちがにじみ出てるその顔を見て私はまたこの人を好きになる。
西「なぁに、そんなに見つめちゃって。もしかして惚れ直した?」
今度は少しだけ意地悪な笑みを浮かべて私を見下ろすたかと視線が絡む。
図星で、ちょっと悔しい。
「そういうことにしといてあげます。」
西「かわいくないなぁ。」
すっと距離を詰めたたかにふわりと抱きしめられて心臓が跳ねる。
西「俺は、惚れ直した。」
「え?」
西「久しぶりにAのマネージャーっぷりを見て、やっぱり好きだなぁって思ったよ。」
「…ずるい。そういうの。」
西「だって、ほんとだもん。」
「もう…。」
西「なぁ、さっきさ…。」
たかが何か言いかけたとき、
コンコンとガラスを叩く音がした。
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(´・ω・`)(プロフ) - 大好きな人は。めちゃくちゃ素敵で何度も読み返してます!できたら、ショートのパスワード教えて欲しいです。 (10月29日 7時) (レス) id: e27e13d6a3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽ - 大好きな人は。とてめ素敵なお話でした(^^)♡こちらの作品も1から全て読みたいです!パスワード教えて頂けると嬉しいです!! (2022年11月22日 1時) (レス) id: 7929bd4039 (このIDを非表示/違反報告)
eringi01030214(プロフ) - 先日読み終えたのでいまから見させて頂きたいと思ったらパスワードかかっていたので教えていただきたいです(;;) (2022年11月21日 3時) (レス) id: ea8392449b (このIDを非表示/違反報告)
りりり(プロフ) - 今から読ませて頂きます♪1から全て読みたいのでパスワード教えて頂きたいです!!! (2022年11月11日 9時) (レス) id: 6961cbc2a1 (このIDを非表示/違反報告)
eight888loooove(プロフ) - 大好きな人は。読ませて頂きました!ステキなお話で一気読みしてしまいました^ ^他の作品も読ませて頂きたいです!パスワード教えて頂きたいです。 (2022年11月5日 7時) (レス) id: 17095d27b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リリィ | 作成日時:2020年5月27日 7時