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渉「ピアノのことはよくわからないけど、
なんかすごい演奏なのに、
悲しい空気を感じた。
弾き終わったあとも、
無表情で。
すごいコンクールで
賞をとってもすごく喜んでいるようにも見えない。
この子は何を思っているんだろう、って
興味が湧いた。」
「でもっ！それだけで婚約者だなんて…。」
渉「その話を受けたとき。
君のお父さんから提示されたんだ。
事務所の開業資金の援助をね。」
知らないところで動いていた
いろんな話とお金ってことなんだ…。
そこに少しの嫌悪を感じる。
渉「とても魅力的な話だったよ。
それにAちゃんにも、
この子はこれからどんなふうに
なっていくんだろうという純粋な興味もあった。
でもね。
ただ資金を出してもらうのは嫌で
貸付という形にしてもらったんだ。
もちろん、返済もした。」
それでも軽蔑するよな、
ってつけ加えた後。
渉「あんなにすぐ
…Aさん夫婦が亡くなるなんて思わなかった。
Aさん夫婦も
何年かごとに遺言を作り直すつもりだったらしいし、
まさか最初に作った遺言が最後になるなんて…。」
なんの言葉も出てこなかった。
語られる事実に頭がついていかない。
渉「ご両親が亡くなった後、
俺と会ったときのことを覚えてる？」
「…はい。」
その時渡すつもりだった手紙があるんだ、
と渡された。
渉「もし先に死ぬようなことがあれば
渡してほしいと言われてたものだよ。」
Aへ
と書かれたその少しだけ古ぼけた封筒。
手が震えてしまって
うまく開けられない封を
渉先生が開けてくれる。
そして私はきれいに折りたたまれた
便箋を広げた。
【Aへ。
私達ははあなたにとって、
いい親ではなかったでしょう。
もし、死ぬときにあなたに言えることが
あるのなら。
一度だけAがピアノを辞めたいと言った時。
あの言葉を言ってしまった後、
とても後悔しました。
どうして、
わかったと言えなかったのか。
私達は
あなたの弾くピアノが大好きで
諦めきれなかった。
そのときは苦しくても
きっと成功すると信じていたのです。
この手紙を託した長瀬渉さんは
私達がAの結婚相手にふさわしいと
決めた人です。
この人ならAを幸せにしてくれる。
何不自由なく生きていける。
だから、
幸せになってください。
そして最後に、
こめんなさい。
父、母より。】
涙とともにこみ上げたのは、
痛み、だった。
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リリィ(プロフ) - fukaさん» 出逢えてよかったって言ってもらえてとても嬉しいです。書いてよかったです！ありがとうございますー★ (2020年4月12日 15時) (
レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
fuka(プロフ) - 完結お疲れ様でした！ 前作から読ませていただき、何度も涙がこぼれました。切なさや悲しさ、喜びなど、たくさん感動したりして、すごく素敵なストーリーだったなと思います！ 終わってしまって寂しいですが、この物語に出逢えてよかったです！ (2020年4月5日 22時) (レス) id: 0f2ddad342 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - Yuiさん» ありがとうございます☆頑張ります！ (2020年3月31日 10時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - ゆにしぃさん» コメントありがとうございます！また読見に来ていただけるようにますますがんばります！ (2020年3月31日 10時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
ゆにしぃ - 長編お疲れ様でした！このstoryは本当に大好きです！！（side story楽しみにしてます！） (2020年3月29日 12時) (レス) id: 2657bef5db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リリィ
| 作成日時：2019年12月1日 8時
