374 side Nissy ページ24
顔を上げたAは、
言葉を探しながら話しだした。
「私は、たぶん…。
普通とは言えない環境で育ちました。
両親は私をピアニストにしたがって、
私はその期待に応えたいと必死で。
不幸だったとは思いませんが、
今になっても。
あの頃が、幸せだったとは…
思えません。
少なくとも私は
両親にこっちを見てほしくて
褒めてほしくて、認めてもらいたくて…。
ただそれだけだった…。」
また俯いて、
目を閉じて。
ぎゅっと膝の上で手を握るA。
西「A？」
思わず手を伸ばして、
固く握られたその手に自分の手を重ねる。
Aが、俺を見て
小さく微笑む。
大丈夫、俺がいる
そんな気持ちを込めてその手を握る。
「両親が生きていてたとして…
あの人たちが何を思うか、
私には想像もつきません。
たぶん、
親っていう存在が私にはとても遠いもの、
なんです。
そんな私に。
たかは…、
隆弘さんはたくさんの愛情をくれて、
私という存在を認めてくれて。
一緒に家族を作る約束をくれました。
私でいいのかとずっと悩んで考えてきて。
やっと、
覚悟ができました。
大変なことも
至らないところも
たくさんあるけど、
隆弘さんと一緒に歩いていきたいと思ってます。
そして、両親も…。
両親が望んだものじゃないかもしれないけど…っ、
私が、
自分で掴んだ幸せを喜んでくれると…
信じたい、です。」
そこまで言い終えて、
ぎゅっと閉じた目から
ひと粒、涙が溢れる。
それ以上、
溢れないように必死で堪えてるA。
やだ、何言ってるか、
よくわかんなくなっちゃった…
すみませんっ、
くしゃりと顔を歪めて、泣き笑いのAが
本当に愛しくてたまらない。
父さんの質問を
うまくはぐらかすことだってできたはず。
だけど、
誤魔化さず、真っ直ぐに、
想いを言葉にするAだから。
そんな、Aだから。
俺はAが好きなんだ。
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リリィ(プロフ) - fukaさん» 出逢えてよかったって言ってもらえてとても嬉しいです。書いてよかったです！ありがとうございますー★ (2020年4月12日 15時) (
レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
fuka(プロフ) - 完結お疲れ様でした！ 前作から読ませていただき、何度も涙がこぼれました。切なさや悲しさ、喜びなど、たくさん感動したりして、すごく素敵なストーリーだったなと思います！ 終わってしまって寂しいですが、この物語に出逢えてよかったです！ (2020年4月5日 22時) (レス) id: 0f2ddad342 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - Yuiさん» ありがとうございます☆頑張ります！ (2020年3月31日 10時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - ゆにしぃさん» コメントありがとうございます！また読見に来ていただけるようにますますがんばります！ (2020年3月31日 10時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
ゆにしぃ - 長編お疲れ様でした！このstoryは本当に大好きです！！（side story楽しみにしてます！） (2020年3月29日 12時) (レス) id: 2657bef5db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リリィ
| 作成日時：2019年12月1日 8時
