歩む道。8

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「ただいま、たか。」



ここへ帰ってきたら、
一番に伝えたかった言葉。

どうしても、
ちゃんと顔を見て言いたかった言葉。




なのに、
たかが帰ってきたら、
どうしてなんだろう？


たかのことを
まっすぐ見られない。



ドキドキと心臓が音を立てるし、
なんだか恥ずかしいし、
自分でもなんだか変だってわかるくらい。



ただ、久しぶりに逢う
目の前のたかが
かっこよすぎて、眩しくて。


どうしていいか
わからなくなってた。






でも今。







たかに抱き上げられて、
連れてこられた寝室。




いつも一緒に寝ていた
ベッドに降ろされて
目も逸らすことが出来ないほどの距離で
見つめられる。



たかの大きな目には
私だけが映ってる。


それがわかるってことは、
私の目にもたかだけが
映ってるはず。



たかの指が私の髪に触れて
目を伏せながら
ゆっくりとくちびるを寄せようとして。



キスをする前にちゃんと
伝えたい。


そう思って私は
その言葉を口にした。





「ただいま、たか。」




たかは驚いたように
閉じようとしていた目を
大きく見開いた。


そしてふっと息を吐いて
それから目を細めて
笑っていってくれた。




西「おかえり、A。」





ただいまとおかえり。



まだここにいた頃、
私たちにとってその言葉は
とても大切なものだった。




その言葉を交わした後は
アーティストとマネージャーという関係でなくなる。




それは恋人同士に戻る
スイッチみたいなもの。



そして、今も。



その言葉を交わしてから、
たかの唇が私の唇に重なった。



そこからはもう、
お互いに止まることができなかった。

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