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334 side Nissy ページ34

このあと出かけるから、
と片付けを終え早々に出かけてしまった
拓実さんたちを見送り
Aの部屋に戻る。


改めて見回すと
Aの部屋にはベッドとソファ、
そして小さなテーブルと本棚。


本棚にはピアノの楽譜らしきもの。

そして
二人で撮った写真と
俺達の想い出が飾ってあった。


「あ!そうだ。」


突然Aが、
一つの紙袋を俺に差し出した。


「あの、これ。

誕生日プレゼントなの。
遅くなっちゃってごめんね。」



西「え…。
ありがとう。開けていい?」


うん、と頷いたA。


包装を開くと、
センスのいい万年筆に
TAKAHIRO
と彫ってあった。


西「わ、すっげー。」


私もお揃いで買ったんだ、
と色違いのそれを見せてくれた。


西「ありがとう、大切にする。」



うん、と小さく笑ったAに
ふと思いついたお願いをしてみる。



西「なぁ、お願いがあるんだけどさ。」


「ん?何?」


西「Aのピアノが聴きたい。」


「え?」


西「いいじゃん、ね?
お願いっ!」


小さく手を合わせてお願いすると
戸惑いながらも頷いてくれたA。



お店の隅に置いてある
Aが使っていたピアノ。


その真ん前に、
椅子を運んできて座る。


ピアノの蓋を開けながら



「リクエストはありますか?

こっち来てから
時々弾いてるので前より
マシになったとは思うけど…。」



西「優しい曲。俺でも知ってる曲。

落ち着く曲。激しくない曲。
でも寂しくない曲。」


んー、と悩みながら
ピアノの前に座ったAが、


「じゃあ…。私が好きな曲を弾くね。

ショパンのノクターン2番、です。」


目を閉じて、深呼吸をして。


そして
目を開いたAの指が鍵盤に乗った。


奏でられる綺麗なメロディは
確かに俺も知っているものだった。



優しいようで、切なくて。
悲しいようで、あたたかい。
儚いようで、強い。



Aの奏でる音に
体が包み込まれるみたいな感覚。


最後の音をAが
弾き終わった後。


ひと粒溢れた涙を
気づかれないように拭い
手に持っていたスマホの録音を停止した。


深く息を吐いた。


西「すごい浄化された気分。

張り詰めてた心が
じんわり解けていくっていうか…。

うまく言えないけど
なんか…ありがと。

すげぇよかった。」


拍手をしながら感想を言う。

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設定タグ:AAA , 西島隆弘 , Nissy   
作品ジャンル:恋愛
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リリィ(プロフ) - ふみさん» 今更お返事ごめんなさい!いつもありがとうございます!続き頑張ります! (2020年1月5日 20時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - AYさん» 今更感ありありのお返事でごめんなさい(泣)読んでくださりありがとうございます!お詫びに?更新頑張ります! (2020年1月5日 20時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
ふみ(プロフ) - めっちゃいいとこ!!早めに続編頼みます! (2019年11月25日 23時) (レス) id: 017350f460 (このIDを非表示/違反報告)
AY(プロフ) - 本当に、ほんっとうに主人公さんの可愛さにはかなわない。というかリリィさんにはかなわない!読むのが楽しみで頑張れます。いつもありがとうです〜 (2019年11月25日 20時) (レス) id: d7256c5ba1 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - Takatakaさん» 帰ってきちゃったー☆予想通り、ですかね笑 (2019年11月25日 17時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リリィ | 作成日時:2019年7月11日 20時

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