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329 sideNissy ページ29

西「A。」


もう一度名前を呼ぶ。


虚ろだったAの目の焦点が
俺にあう。



たか


と言いたかったんだろうけど、
それはうまく音にならず。



西「水飲もっか。起きれる?」


そう言うとぼんやりしながらも
小さく頷いたから
背中を支えてゆっくり体を起こしてやる。


枕元に置いてあったミネラルウォーターの
キャップを外して手渡すと。




少しずつ、
こくん、こくんと飲み込んでいく。



西「もういいの?」



また頷くAの手からそれを受け取る。




ぼんやり俺を見つめるA。




「たか…?ほんとに?」




西「うん。本物でしょ。


ほら。」


ベッドに腰掛けて
Aを抱き寄せた。



「たか…。」




Aだ。
腕の中にAがいる。



西「逢いたかった…。」



「…私も。」




腕の中から俺を見上げるAの
頬に手を添える。



目と目があって
そのすぐあと。



そっとキスをした。




触れるだけのキスは
ほんの数秒のことだった。



でも。


それだけで震えるくらい
嬉しかった。

愛おしくて、愛おしくて
たまらない。




久しぶりのキスは、
少し高いAの体温が唇から伝わってきた。





西「なーんで。
こんなになってるのに
すぐ呼んでくれないかなぁ、
俺のAさんは。」




「ごめん。」




わざとふざけたように言ってみても、
声が震える。



西「心配、したよ。」



体を離してAを見る。


首には引っ掻いたような傷が何本もあって
痛々しかった。


まだあの指輪を探してしまうんだな…。


そうだ、
お揃いのものを買いに行く約束も果たせないまま
離れてしまったな。


なんて一瞬で後悔した。



髪を撫でながら、



西「電話してもいい?
って聞いたくせにしてこないし。

逢いたいって言ってこないし。

連絡、急に取れなくなるしさ。」



そう言うと、
ぎゅっと俺の服を掴んだA。



「なんとかね、頑張ってたの。
元気にやってるって、メッセージしてたのは
嘘じゃないよ。

ちょっと怖いけど…
もう大丈夫かもって、
自分で思ってたの。


でも…ごめんね。



私は前に進めてない…。」



ぽろりとひと粒、
涙を流したA。





西「俺は…。


そうは思わない。


Aはちゃんと前に進んでる。
だから、大丈夫。」

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作品ジャンル:恋愛
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リリィ(プロフ) - ふみさん» 今更お返事ごめんなさい!いつもありがとうございます!続き頑張ります! (2020年1月5日 20時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - AYさん» 今更感ありありのお返事でごめんなさい(泣)読んでくださりありがとうございます!お詫びに?更新頑張ります! (2020年1月5日 20時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
ふみ(プロフ) - めっちゃいいとこ!!早めに続編頼みます! (2019年11月25日 23時) (レス) id: 017350f460 (このIDを非表示/違反報告)
AY(プロフ) - 本当に、ほんっとうに主人公さんの可愛さにはかなわない。というかリリィさんにはかなわない!読むのが楽しみで頑張れます。いつもありがとうです〜 (2019年11月25日 20時) (レス) id: d7256c5ba1 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - Takatakaさん» 帰ってきちゃったー☆予想通り、ですかね笑 (2019年11月25日 17時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リリィ | 作成日時:2019年7月11日 20時

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