歩む道。7

348 side Nissy ページ48

毎週のように、
ソロでライブができる日がくるなんて
上京したころは考えたこともなかった。


もともとグループでの活動を
希望してたわけじゃない。
何回も何十回も辞めてやるって
思った。
だけど、今の俺があるのは
間違いなくAAAとして過ごしてきた
時間のおかげであり、
AAAのメンバー、チームみんなのおかげだ。




このツアーのスケジュールは
キツいけどものすごく充実してる。


地方ごとに少しずつ違うファンの子の感じ。
限られた時間で垣間見る景色や
地方ならではの食べ物。


これをツアーの充実感と共に
Aと共有したかった、
なんて少し思ってるのは心の中に
仕舞っておこう。




そして。


実家のある北海道で
アリーナ公演を終えたのは3月。



少しだけ実家に立ち寄る時間を
取れるように瀬尾に頼んだ。



実家で待っていてくれた父さんと母さんに
話そうと決めていたことがあった。



東京ドーム公演を見に来てほしいこと。
Aと結婚するつもりだということ。


でも、Aが今ここにいない理由も…。



西「Aに、東京で会ってもらいたい。

前とは違う。
マネージャーとしてじゃなく、
俺の大切な人として紹介したいんだ。」



その時。


華音「たかくーん！」



リビングのドアがバタンと開いて
顔を覗かせたのは華音。



西「かのーん。
久しぶりだなぁ。また可愛くなった！」



6年生になった華音は
背も伸びて大人びてきた。
俺の知らないところで
メールのやり取りをしてる華音とA。
何年も会っていないとはいえ
すっかり仲良しだ。



華音「たかくん！
昨日すごーくかっこよかったよ！
で？

いよいよAちゃんと結婚？
あ、Aちゃんは？」



西「Aは来てないんだ。
今は別の仕事してるから。」



華音「えー！」



西「また連れてくるよ、そのうち。」



華音「そんなこと言ってー！
次来るの、また4年後だったら
怒るからねっ！」



西「怖っ。だんだんねぇちゃんに似てくる…。」




小さい声で父さんに言うと
無言で頷く。



父「さっきの話。
楽しみにしてる、来月。

ライブもAさんに会うのも。」



華音に聞こえないように
こっそりそう言った父さんに
母さんも頷く。


華音「あっ！内緒話ずるっ！」


相変わらず賑やかな実家。

笑い声も会話も絶えない、
こんな家族をAと作りたい。


そう願った一時だった。

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