歩む道。7

342 side Nissy ページ42

「もちろん！


ほら、朝起きれないと困るから。
もうベッドに入って？」


西「わかった。」


「またね。」


西「うん…あ、のさ。」



ん？と聞き返したAに問う。



西「東京ドーム…見に来てくれない、かな？」



「え？」



初めてのソロでの東京ドーム。



ここまでこれたのは、
いろんな意味で
Aのおかげでもあるから…。



西「Aに、見てほしいんだ。」



少し待ってみても電話の向こうからは、
なんの返事もない。



西「…答えは急がないから、
考えといて。じゃ。」



そう言って返事も待たずに
電話を切った。



はぁ…とため息をつく。


Aを急がせたくない、焦らせたくない。
そう思う気持ちもある。



ドームは今回だけじゃない。
またすぐできるかもしれない。




それも、今回のツアーやドームの結果に
かかっているけど…。





目標にしてたわけじゃないけど、
俺にとって、“東京ドーム”という活字が
表すものは…。



ファンの子や
スタッフやチームのみんな。
家族、友だち。
そして、A。


関わってくれたみんなへ伝えたい
大きな感謝の気持ちだから。


だから見て欲しいんだ。


そんなことを考えてたとき、
手に持っていたスマホが震える。




【さっき、
返事できなくてごめんね。

ちゃんと考える。


今日の公演。
怪我なく事故なく
無事に終えることを祈ってるね。

おやすみなさい。】



Aからのメッセージだった。



【Aが来れるって思えたらでいいから。
ゆっくり考えてみて。


おやすみ。】



と返信した。



夜が明けるまであと少し。
ベッドに入って目を閉じると
あっという間に眠りの闇に吸い込まれていった。



そして朝が来て。



俺はまたステージに立つ。



MCでサプライズ発表するつもりが、
その前にNissyの日の記念日認定を
プレゼントされて
すごく驚いた。



スタッフもダンサーもバンドメンバーも
みんな知ってて
知らなかったのは俺だけ。



これにはやられた。




そして、
Aの言葉を思い出してた。



たかにはたくさんの仲間がいる。
ひとりじゃない。




うん、A。



俺には最高の仲間がいて、
一人でステージに立つんじゃない。
みんなで立つんだよな。





それから。




ドームを発表したときの
みんなのおめでとうの声と拍手。




俺は何を怖がっていたんだろう？




苦しいくらいに嬉しくて
涙が止まらなかった。



やってきたことは
間違ってなかったと確信した瞬間だった。

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