176 side Nissy ページ26
静かな病室で、
どのくらいそうしていたのか。
コンコンとドアがノックされる。
看護師「速水Aさんのご家族の方ですか？」
やっぱり聞かれるこの言葉。
事情を説明すると。
看護師さんは俺に状況を話してくれた。
風邪などの熱じゃないこと。
軽い栄養失調で、
睡眠不足。
過度のストレスがあったんだろうということ。
それから。
頬の傷は幸い傷は深くないみたいで、
跡も残らないだろうって
話だったと思う。
言葉として頭の中に残っていたから、
聞いてはいたんだろう。
でも気づいたら
看護師さんはいなくなってて。
点滴が終われば帰っていいって言ってたけど、
俺に逢いたくないと言っていたAを、
俺達の家に連れて帰ってもいいんだろうか。
もう、俺から自由になったほうが
幸せなのかもしれない。
俺のそばにいなければ、
こんなことに巻き込まれなかった。
殺人未遂…
って言ってた。
そうだ、死んでたかもしれない。
俺のせいで。
Aは死んでいたかもしれない。
そう思うと足がガクガクと震えて、
立っていられずにAのベッドのそばで
膝をつく。
西「…ごめんっ、A…。」
Aの小さな手を握りしめて、
嗚咽を堪える。
まだ熱があるのか、
Aの手は俺の体温よりずっと熱い。
西「だけど…俺…。」
この手を離したくないんだ。
ぎゅっと握ると俺の手の中で、
ピクリと動くAの手。
西「…っ、A？」
うっすらと目を開いたA。
焦点が合わないのか、
しばらく宙を彷徨ったあと、俺を見る。
「にし、じまさ、ん。
…な…んで……。」
熱のせいか
途切れ途切れの言葉。
「わた、し…。
なんで？
リハは？」
西「リハ、
終わったから、
Aを迎えに来た。
ここ、病院って、わかる？」
寝たまま視線を動かしたあと、
俺を見て小さく頷いたA。
「涙…。」
そう言われて、
Aの手が俺の頬に触れる。
やっと俺は
自分の頬に涙が流れてたことに気づいた。
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リリィ(プロフ) - ao.aoさん» ありがとうございます！応援しただいて嬉しいです☆続編も楽しんでいただけたら嬉しいです☆ (2019年2月26日 14時) (
レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - idmさん» ありがとうございます！5も公開しました。引き続きお楽しみいただけたら嬉しいです☆ (2019年2月26日 14時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
idm(プロフ) - 更新いつも楽しみにしてます！！続編も楽しみです(^^) (2019年2月23日 18時) (レス) id: 8b61c6c3c0 (このIDを非表示/違反報告)
ao.ao(プロフ) - 更新、楽しみに待ってます！ (2019年2月22日 22時) (レス) id: c44633c2f8 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - Takatakaさん» コメントありがとうございます！色んな捉え方、ありますねー☆そこまでちゃんと読んでもらって嬉しい限りです☆ (2019年2月22日 8時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リリィ
| 作成日時：2019年1月1日 14時
