歩む道。3

118 side Nissy ページ18

そして。

何故か俺の部屋に
千晃と日高が来て飲み始めてる。


「Aさ、酔うと寝ちゃうんだよな。

前もこんなことあってさ。

あの時は海外だったから、
普通におんぶしてホテルに帰ったけど、
流石に今日は誰が見てるか、
わかんないもんな。」


なんとか起こして、
ホテルに連れ帰ったものの、
一人にするのが心配で俺の部屋に連れ帰った。


ベッドですやすや眠るAを
見つめる。



そして。


千晃は酒が強い。
同じペースで飲むと絶対潰れる。




千「なんかさ。

一時期はどうなるかと思ってたけど、
うまくいってるんだよね。ふたり。」


西「まぁ…な。」


はっきり、イエスと言わない俺を
怪訝そうな顔で見るふたり。



日「何、なんかあんの？」



西「あのさ…。


結婚。


したいって
思うことある？」



俺の質問に固まる二人。


最初に口を開いたのは千晃。


千「私はあるよ。

今みたいに隠れて逢わなくてもいいし。
いつかは子供も欲しいし。」



日「俺はないなぁ。

今は仕事だけでいい。
まぁ、彼女もいないし。」



西「この前さ。


Aが入院したとき、
ご家族はいますか？って聞かれて。

一番近くにいるのに、
家族じゃないからって理由で、
Aの状況をまず最初に聞ける立場
じゃないんだって、

思ったんだ。


だから…。」


漠然と抱える不安。



千「だから結婚かぁ。」



西「んー、なんて言ったらいいのかな。

俺もよくわかんない。

それに、
捕まえてるはずなのに、
いなくなっちゃいそうだって。」



そのための手段としての、
紙切れ一枚の契約。



日「それって、幸せ過ぎて怖いってやつ？」


西「そうなのかな？
ちょっと違うような気もする。」



未来のことが、
気にかかる。


Aと離れるって未来は想像できない。


でも、この先どうなっていくのか、
不安だ。
そのことを口にすることが、
できずにいる。


俺も、
Aも。


千「でもまぁ。

ふたりが想い合ってるってことは、
見てればわかるよね、だっちゃん。」


ほら、飲んで飲んでと、
俺達のグラスにワインを注ぐ千晃。


日「うん。西島がこんなに恋愛モードなとこ、
見たことなかった。

それでも、やっぱりなるようにしか
ならないだろ。


100%自由に決められないのは
あると思うし。」


なるようにしか、
ならない。


そうだよな。


俺は何をこんなに不安がってるんだ？

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