歩む道。3

116 side Nissy ページ16

西「遥斗、何だって？」


実彩子の指摘を無視して聞く俺。


実「ん？誕生日おめでとうって。

東京戻ったら、
お祝いにご飯連れてってくれるって。」


西「そっか。良かったな。」


うんと頷く実彩子越しに、
Aの肩を抱こうとする、
酔っ払ったスタッフさんの姿。


西「…っ！」


お酒の席だ、
仲間としてのコミュニケーションだろ？



頭の中で何か理由を探して
平然を装うとしてるのに
明らかに態度に出てる俺。



実「もう、仕方ないなぁ。」



そう言った実彩子が、



実「Aちゃーん！」



といきなり大きな声でAを呼ぶ。



西「は？実彩子、何して…」



実「一緒に飲もうー！」



おいでおいでと手まねきする実彩子。


不思議そうな顔で、
でも、
はーい、と素直にグラスを持って
俺達のところに来たA。


多少ふらつくとこを見ると
だいぶ酔ってるんだろう。




今日はお疲れー、と
三人で
カチリとグラスを合わせる。


目と目があって、
ふわぁっと笑うA。
近くに来れて嬉しいって顔してる。


そんな事で、ちょっと満足する俺。



実「ねぇ、にっしーはさ、
彼女さんのこと、いつから好きだった？」



実彩子が意地悪そうな顔で、
そんなことを聞く。


西「はっ？な、なんだよそれ。」


俺の隣にいた日高まで話に乗ってくる。



日「あ、それ俺も聞きたーい。」



西「言わない。絶対言わない。」



俺がそう言うと、



「私も聞きたいな。それ。」


Aが言う。



西「は？何言ってんだよ。」



「いいじゃないですかー、
教えてくれても！

私、知りたいっ！」



嫌だと首を振ると、
今度は日高が質問をする。


日「あ、じゃあさ。
先にAちゃんに聞こう。

いつから彼氏のこと、好きだった？」



「えーっ。

…私ですか？私は…」


えっ、言うのかよって驚く。



西「ちょっと待て。

なぁ、速水。
どんくらい飲んだ？」


ん？って顔して
ちょっと上を見ながら、
指を折り数える。


片手がいっぱいになるくらいで、
覚えてませんっ、とへらっと笑う。


西「あんた飲みすぎだから。」



手にしてたグラスを取り上げる。



「えー、まだ大丈夫ですよぉ。」



西「だーめ。」



「けちっ。」


ぱしっとそのグラスを取り返され、
ぐいっと飲み干すA。


「ふぅ。もう飲んじゃいましたー。

あ、すいませーん、
おかわりくださいっ！」


いいコンビだなって、
日高も実彩子も大笑いだった。

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