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69 side Nissy ページ19

家に着いて交代でシャワーに入り
ソファに並んで座る。


Aが淹れてくれたあったかいお茶を飲みながら、
聞かされた話は思ってもみないことだった。


差し出されたスマホの画面には
辛辣な言葉が並ぶメールの数々。


西「これ…。
え…?

いつから?」


うまく話せなくて掠れる声。


「ゆりかちゃんの、あの記事。

覚えてます?

マネージャーと深夜の密会。」



西「…あぁ。」



「あれ、私だと思われてるみたいです。」



西「なんでっ!?」



「西島さんのマネージャーは、私だから、かな。」


遡るとすごい件数の同じようなメール。


最初は空メールだったけど、
その後だんだんキツイ言葉が並ぶようになって、
と言ったA。


よく話を聞けば、
メールもそうだし、
事務所での刺さるような視線を浴び、
すれ違いざまに嫌な言葉を言われる
という話を聞いて何も言えなくなった俺に。


「そのうちなくなるかなって
思ってたんですけど、ひどくなるばかりで。」


ヘヘッとか、笑ってみせて、
普通に話そうって思っているんだろうけど、
かすかに揺れる声に気づかないわけない。


西「ごめん…。俺何も知らなくて。」


「謝らないでください。

西島さんは自分を責めると思ったから、
ほんとは言いたくなかった。」


Aは、
胸元に収まってるリングをぎゅっと握る。


不安なときにこれを握るのはもう、
無意識なんだろう。


「悩ませたくない、
煩わせたくない。
そう思ってた。

でも、さくらさんに言われたの。
言わないほうが
西島さんは傷つくよ、って。

だから。


黙っていて…

ごめ…ん…なさい。」


Aは目にいっぱい涙を溜めながら、
でもちゃんと俺の顔を見て言った。


「メールが怖くて、よく眠れないの。
ご飯もたくさん、食べられなくなって。

どうしたら、いいのかな。」


Aは、
俺の肩に自分の頭をトンと預けてきた。


小刻みに震えるその肩をぎゅっと抱きしめる。
Aも、俺の服をきゅっと握る。


どうしたらいいか?


Aのこと、守るって言ってるくせに、
実際こういうことが起きても、
何ができるか、わからない。


「考えるから。

俺が考えるから。
今日は何も考えないで眠って。」


小さくうなずいたAの
背中をトントンと撫でていると、
すぅすぅと寝息が聞こえてきた。


そして俺の服を握っていた手が、
ぱたんと俺の足の上に落ちてきた。

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作品ジャンル:恋愛
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リリィ(プロフ) - loversoul5296さん» うれしいコメントありがとうございます!同じ西島さん像を共有できて嬉しいです☆この先もよろしくお願いします! (2018年10月14日 22時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - ao.aoさん» コメントありがとうございます!3もスタートしましたので、これからも楽しんで頂けたら嬉しいです!最高にいい!の言葉、すっごく嬉しいです☆ (2018年10月14日 21時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - くまさん» いつもありがとうございます!頑張ります☆ (2018年10月14日 21時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
loversoul5296(プロフ) - 凄く引き込まれますね。しかし切なすぎて苦しすぎて。そんな西島さんすらかっこよすぎて(笑)現実の西島さんがどんな恋愛するのかわからないけど、リアルな西島さんに大切にして貰える女性はきっと素敵な人だろうなって。完全に私の中の西島さんはこの西島さんです(笑) (2018年10月14日 0時) (レス) id: a5209292a1 (このIDを非表示/違反報告)
ao.ao(プロフ) - いい!いい!最高にいい!幸せになってもらいたいです更新楽しみにしてます。 (2018年10月13日 11時) (レス) id: c44633c2f8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リリィ | 作成日時:2018年8月21日 15時

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